掲載日 : [2006-09-06] 照会数 : 8445
〞在日韓国人の本音〟でシンポ…島根本部
[ 地元民団関係者は高齢者年金や地方参政権などの支援を訴えた=2日、松江市 ]
「地域社会の一員だ」
県も後押し…創団60周年記念し民団島根が主催
【島根】民団島根県本部は島根県人権センターの委託を受けて松江市内の県民会館で2日、創団60周年記念シンポジウム「聞いてみよう在日韓国人の本音‐我々が生きる地域社会」を開いた。
これは同本部が一昨年から続けている草の根レベルの韓日市民交流事業の一環。今年度は「飲んでみよう韓国のお茶文化」を含む一連の事業に対し、財団法人島根県国際センターから助成が認められた。県と姉妹提携関係を結ぶ慶尚北道との関係は県の「竹島の日」条例制定で交流が中断しているが、市民交流は依然健在だ。
シンポには市民80人が参加した。パネリストとして地元の民団から李燮潤団長(59)と婦人会をはじめとする5人が登壇し、在日の歴史と現状および隣人として生きていくうえで直面している隘路などについて率直に吐露した。
益田市内で中華料理店を経営する安成甲さん(65)=民団益田支部支団長=は在日2世。高校卒業時に就職差別にあい、中華料理店に見習い修行に入った経緯をあからさまに語った。さらに解放後、辛酸をなめてきた1世高齢者の無年金問題にもふれ、「これだけは1日も早く解決してほしい」と訴えた。
婦人会島根県本部会長の崔明美さん(54)は「わかりにくい在日の存在を広く知ってもらおう」と「出雲オモニ会」を立ち上げ、福祉施設を慰問しながら街おこしにも努力していることを明らかにした。
李団長は17歳で初めて民団と関わってから今日まで44年間、地域社会の一員として貢献してきたことを強調しながら地方参政権付与の必要性を強調し、幅広い支援を呼びかけた。
出席者の多くは「在日韓国人というだけで大変な思いをされているのを感じました。でも一生懸命生きていることに感動しました」と感想を語っていた。
ある60代の女性は「日本人として考えるべきこと、学ぶこと、反省するべきところなど多々あります。もっと多くの人を誘うべきだった」と、一人で参加した事を悔やんでいた。また、40歳の男性は「年金や選挙権など多くの問題があることを知りました。歴史について再度勉強しようと思いました」と話していた。
(2006.9.6 民団新聞)