掲載日 : [2006-09-13] 照会数 : 7819
脚本家 ジェームス三木さんに聞く
日本人化させ戦争へ
対立しない文化交流を
日本の植民地政策の一つとして強制された「創氏改名」をテーマにした演劇「族譜」(劇団「青年劇場」公演)が、10月下旬から東京で上演される。故梶山季之の小説を舞台化するにあたり、脚本を担当したのがジェームス三木さん。「族譜」への思いを聞いた。
「創氏改名」をテーマに
劇団「青年劇場」の「族譜」公演10月から
1935年に旧満州で生まれ育った。両親は日本語を教える小学校の教師だった。植民地時代を覆った重い空気を、幼いときから肌で感じていた世代だ。
脚本を手がける「族譜」は、「創氏改名」を推し進める京畿道道庁の役人、谷六郎と改名を拒み続ける水原郡の大地主・薛鎮永の葛藤を描く硬い内容。03年5月に自民党の麻生太郎代議士が、「朝鮮人が(日本名を)望んだ」と暴言を吐いたことがあると水を向けると、「圧力をかけて創氏改名を押し付けた側には、朝鮮人が日本の名前を名乗るのは嬉しいことだろうという不遜な態度に加えて、日本人化させることで、戦争に駆り出す目的があった」と看破する。
02年のサッカーW杯の韓日共催や昨今の韓流で、韓日の垣根は低くなる一方、首相の靖国神社参拝など政治問題ではギクシャクが続き、韓日交流の行く末に不安を持つ人もいる。
「政治、経済、外交などは対立するが、まったく対立しない唯一のものが文化。だから文化交流はとても大切で、文化の原点とは人間はどう生きるか、その根本を描くことだ」と熱っぽく語る。
「映画やテレビと違い、舞台は客の顔が見える。喜んでいるのか、泣いているのか。反応が手に取るようにわかる。それが舞台の良さ、醍醐味だ」と、「族譜」にかける大きな期待を示しつつ、「最後まで客を飽きさせないようにするのが私の仕事」と自信をのぞかせた。
〈「族譜」公演日程〉
▽10月27日〜11月5日=紀伊國屋サザンシアター
▽11月6日18時半=府中の森芸術劇場ふるさとホール
▽11月7日18時半=かめありリリオホール。
チケット一般4935円、ユース(学生及び20歳以下)2625円。詳細・チケット取り扱いは青年劇場チケットサービス(℡03・3352・7200)。
「民団デー」29日貸切公演
演劇「族譜」のうち、10月29日14時の公演は「民団デー」として貸切公演される。サービス割引4000円。鑑賞希望者は、中央本部宣伝局(℡03・3454・4612)まで。
読者プレゼント
29日の「民団デー」チケットを、5組10人の読者にプレゼントします。ご希望の方は住所、氏名、電話番号を明記し、(FAX03・5419・7555)またはメール(senden@mindan.org)で申し込み。締め切りは25日。希望者多数の場合は抽選後、当選者にチケットを郵送。
(2006.9.13 民団新聞)