掲載日 : [2006-09-13] 照会数 : 7208
同胞高齢者マダンにぎわう 生野・巽公園
[ 大勢の仲間に囲まれ至福のひと時(生野区巽公園で) ]
チャンギ囲み憩いのひと時
【大阪】大阪市生野区の巽公園。毎日どこからともなくハラボジたちが集まり、チャンギ(韓国将棋)を楽しんでいる。週末ともなると、多いときで100人も集まる。民族的習慣から、日本人の老人の集まる場にはどうしてもなじめない。気のおけない同胞の仲間と指す将棋につかの間の心の安らぎを感じているかのようだ。
同胞のお年寄りたちがチャンギを指す場はこれまでにも布施公園や桃谷公園、田島公園などで見られた。5、6年前からはなぜか巽公園に自然と集まるようになった。年齢は60歳代後半から最高齢で92歳。
朝9時過ぎからポツリポツリと集まりだし、いつのまにか60人近くに。近隣に住むハラボジもいるが、スクーターを駆って20分がかりでやってくるハラボジもいる。
「どないや、元気か」「今日は勝つで」と将棋の駒を手に早くも闘志むき出し。対局者が将棋台に向き合うと、その周囲を応援のハラボジたちが取り囲む。将棋台はハラボジたちの手作りだ。全部で5台ある。
雨が降っても帰ることはなく、手作りのテントでしのぐ。和気あいあいと昔話や子どもたちの話に興じ、話題にこと欠くことはない。
生野区中川自治会の社会福祉部長・防犯部長をしている梁正雄さん(78)は「地域に老人の集まりやホームがあるが、(参加しても)憂うつで。でもここにはそんな雰囲気はまったくなく自由で楽しい」と話す。人生の苦労がしみこんだ顔の1本1本のシワが、この時ばかりはほころんで見えた。
佳境に入ると、相手を追いつめたのか、「チャングン」(王手!)「アイゴー、負けた」という元気いっぱいのハラボジたちの声が公園内に響いてきた。表情は生き生きとし、声にもハリがあった。そこには老後をめいっぱい楽しむというどん欲さすら感じられた。
(2006.9.13 民団新聞)