掲載日 : [2006-09-27] 照会数 : 9970
信頼の回復に全力 鄭進団長…就任記者会見
[ 記者会見で就任の抱負を語る新3機関長=21日 ]
新中央3機関長の就任記者会見
民団の基軸しっかり固め
21日に都内のホテルで開催された「新中央3機関長就任祝賀会」のあと、別室で行われた新3機関長の記者会見には約50人のマスコミ関係者が出席、民団に対する関心の高さをうかがわせた。記者会見の主な内容は次の通り。
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−−3機関長に就任した感想は。
金廣昇議長 3機関長の新しい出発にあたり、在日同胞として地域社会で日本の人々とともに発展させていきたい。
鄭進団長 今回の選挙で318票を得て団長に当選したが、私の誕生日が3月18日であることから、天が私に下したものと考える。この重みを充分に認識しながら、私自身日本で生まれ育った在日同胞としてしっかりした軸足を日本におき、日本の人々と共生・共存を図りながら在日の主体性をもって行動したい。とくに本国との関係においては、国民が選んだ政権を尊重し、一層強化、発展に努めたい。
金昌植監察委員長 今年の2月24日に新3機関長が選ばれたが、この半年間にさまざまな問題が生じたために混乱を余儀なくされてきた。今回改めて選ばれた3機関体制のもとでは互いに協力しながら発展させていきたい。
総連との交流 冷却期間必要
−−朝鮮総連との交流はどうするつもりか。
鄭団長 私は在日2世で、地方において総連の人々もよく知っている。戦前、戦後を通じて日本で生活してきた同じ背景があるので、地方では非政治的なことから交流を深め信頼回復を図っていきたい。しかし、中央レベルでは政治がからむのでしばらくは冷却期間をおきたい。しっかりした基軸をつくる中で総連と話し合いを進めたい。
−−総連との5・17共同声明について。
鄭団長 臨時中央大会で承認を受けた「調査委員会」を通じて監察機関とも協力しながら追及していく考えだ。
−−本国との関係については?
鄭団長 国民が選んだ政権を尊重し、これまで以上に韓国との強化に努めたい。戦前、戦後を通じて大変苦労してきた在日の歴史的背景、在日の自主的な行動、日本におけるマイノリティーとして共存・共栄に努めなければならない点など、本国における理解を得るようにしたい。
−−10月3日で創団60周年を迎える記念行事はどうする計画か。
鄭団長 人間で言えば還暦を迎えることになる。選挙期間中、これを機に民団が一層飛躍すべきだと訴えてきた。60周年事業をいつ、どのように行うかはよく相談してから決めたい。
−−8・15の共同開催について。
鄭団長 以前から民団は共同開催を呼びかけてきたものの総連側が応じてこなかった経緯があったが、当面は考えていない。
−−2月の大会後に頭を丸めた理由は。
鄭団長 前回の選挙に敗れ、自戒しながらその結果を謙虚に教訓とするためだった。
−−大統領をはじめ本国の要人に新任のあいさつに行くとき、何を訴えるつもりか。
鄭団長 戦前、戦後を通じて日本で生活してきた在日の背景をよく理解していただくように努めたい。
−− 一般の総連同胞に対するメッセージは。
鄭団長 総連の友人らから「民団はしっかりして」と支援、激励を受けてきた。地方では非政治的な分野から交流を図るべきで、そのような中で信頼回復を図っていきたい。
脱北者支援は積極取り組む
−−脱北者支援について。
鄭団長 脱北者支援と拉致問題については積極的に取り組んでいきたい。
−−前執行部において3機関長が総辞職したが、その責任について。
金議長 規約上、執行部が総辞職すれば2機関も一緒に退陣することになっている。総連本部に同行した責任は感じている。その轍を踏まないようにするとともに、在日同胞の信頼回復に努めたい。一方で、韓日の架け橋役としての使命、責任を果たしたい。
金監察委員長 議決・監察機関に相談もなく、執行部が独断で4月24日に韓統連に提議書を持って行った。その内容も、6・15南北行事を共同で行うものだが、民団としては到底受け入れられないものだった。なぜなら6・15行事の日本地域代表者が30数年前に民団から除名された韓統連の関連者だからだ。
金議長 5・17共同声明については乗せられた感じだ。当日の朝、いきなり総連事務所に向かうという要請があり、軽い気持ちで同行したが、お膳立てはすべてできていた。人道・人権問題など棚上げしたことについて念を押したが、充分に把握できなかった点について道義的責任を感じている。
金監察委員長 5・17共同声明に同行した点は充分に反省している。
中央選挙資格 幅広い団員に
−−選挙制度の改正について。
鄭団長 2月と今回の2度立候補し、北海道から九州まで全国津々浦々にわたり繰り広げた選挙運動を通じて制度そのものを見直すべきではと感じた点がある。3機関で協議しながら幅広い団員の参加を考えていきたい。
−−総連との和合について前執行部の拙速の原因について。
鄭団長 前執行部が単独で独走したためだ。人権と人道、そして自由と民主主義が基軸になってこそ、和合は可能だと思う。民団は脱北者支援、地方参政権獲得、墓参団などの運動を進めているが、総連も本国に対してしっかり在日が共存共栄できるよう意見が言えるように変わることが必要ではないか。他の2機関と協議しながら規約に則って進めたい。
−−新体制の最重要事項はなにか。
鄭団長 一人ひとりの自発的な署名で5・17に対する反対運動が起こった。そういう点で民団の基軸を固めることが第1だ。同時に、日本社会における信頼の失墜を挽回したい。
−−最後に、人事をどう進めるか。
鄭団長 古い体質を壊し、新しい体制をつくるため人心を一新するつもりだ。
(2006.9.27 民団新聞)