掲載日 : [2006-10-25] 照会数 : 7084
<寄稿>核開発は愚かなこと 姜命舜
[ アジメ奉仕隊の訪問を受け懇談する姜さん(中央)=写真提供・民団鳥取本部 ]
世界の反発招くだけ 結局は自分達が苦しむ
小学校しかいっていないので、つたない一筆ですが、私の体験を書いてみました。
母・妹らは北に 総連分会で活動
生活に困っていた私の家も、体の弱い母と妹たちを思い、北朝鮮に帰国することを決めて、母たちは1961年7月に、妹の夫と生後9ヵ月の赤子をつれて帰国しました。北朝鮮は教育も無料で、大学までいける。医療も無料で、希望する仕事ができ、住宅も用意してある、と。私もその2ヶ月後に出発する予定でした。
家も売り、北は寒いところだからと色々生活用品をそろえ、準備していましたが、万景峰号の入港が延期になり、その間に妹から手紙が届きました。何一つ買うところがないし、子どもたちが大きくなるまで来ないようにと書いてありました。
家もなくお金もなくなり、5人目の子どもが生まれるのに、途方にくれましたが、苦労しながら一生懸命働きました。
主人も朝鮮総連の鳥取県鳥取支部津ノ井分会の分会長として活動し、5世帯で、日本で一番小さな十畳一間の民族教育夜間学校も建てて、言葉や歴史、歌などを教えてもらいました。教師は青年男女で、楽しかったです。
金日成主席は、米国と休戦しているが、いつ戦争を仕掛けてくるかを一番心配し、恐れていました。戦争は絶対しない。けれど、外から入ることは絶対防がなければならないと、国を守り、人民を守るために、国防力の強化を進めていました。
韓中の忠告も 無視するとは
私は1986年5月、北朝鮮に行き、元山ホテルで妹2人とその子ども家族と25年ぶりに再会しました。懐かしくて、涙で思うことも話せませんでした。ピョンヤンは素晴らしかったけど、郡部は貧しかったです。
金正日総書記は、アメリカと平和条約を結び、休戦を終戦にしたいのに、イラクへの先制攻撃があったので、恐れを感じているのだと思います。北朝鮮は7月にミサイル発射実験をし、10月9日には地下核実験をしました。アメリカに対抗してのことかも知れませんが、それは間違っています。
韓国と中国に助けられながら、忠告を無視して世界中が反発する行動を行うことは、愚かなことです。善良な人々の心を傷つけ、苦しめることは、それ以上に自分も、人民も苦しむことになることを知らねばならないと思います。
1987年、民団の墓参団で韓国訪問をすすめられて、主人と2人で参加しました。主人は40年ぶりの帰郷でした。兄姉は亡くなり、親類の人たちと会いましたが、大変喜んで下さいました。先祖のお墓参りをして、色々な名所見物に連れて行ってもらいました。
楽しかった韓国 祖国の統一願う
楽しい祖国訪問でした。韓国は日本より素晴らしい国でした。祖国が統一されれば、世界一の地上の楽園になるでしょう。
1995年に民団に入団させていただき、お世話になっております。鳥取民団では毎月1回、アジメ奉仕隊の方2、3人で、お年寄りの人の家庭訪問に、おみやげを持って来て下さいます。その温かい思いやりに、本当に心から感謝しております。
姜命舜(鳥取県・76歳)
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編集部注=姜命舜さんは民団鳥取本部に、400字詰め原稿用紙約100枚の手記を寄せました。同本部ではこれを冊子にする予定です。姜さんは民団新聞に、そのエッセンスを寄稿してくれました。本稿はその要約です。なお趣旨や用語については原文を尊重しました。
(2006.10.25 民団新聞)