掲載日 : [2006-11-01] 照会数 : 9634
<民論団論>「5・17事態」に思う 金鳳祚
金鳳祚(民団愛知・名中支部顧問)
民団の失地回復へ転機とすべき
歴代役員に問う
5・17事態の経緯を検証すると、忸怩(じくじ)たる思いが膨らんでくる。酷な指摘だが、河丙執行部以前の中央執行部、顧問団、なかんずく団長経験者に問いたい。
1977年8月13日の池之端事件に関連した彼ら朝鮮総連・韓統連は、北韓の意を受け、その尖兵として民団包摂の策謀を虎視眈々と狙っているのを知りながら、なぜ、唯々諾々と見過ごしたのだろうか。
加えて、民団の公器である機関紙「民団新聞」をも、不純に満ちた自らのプロパガンダに利用していたのに、即時停刊させることができなかったのか。
民団の威信を毀損した事態の真相を徹底的に糾明し、関連者には厳しく対処しなければならない。今回の事態からは次のような図式が見えてくる。
すなわち、北韓‐韓国内親北勢力‐朝総連・韓統連のラインによる画策と見て、ほぼ間違いあるまい。しかし、韓統連らは陰謀をめぐらせてはいたが、浅はかだった。
今回の事態はあたかも、眠れる獅子の尻尾を踏んだネズミの役割だった。ややもすれば惰性に蝕まれていた民団の目を覚ます契機となった。
和解へ前提条件
民団が朝総連と和解するには、朝総連が次に掲げる条件を満たすことを前提にしなければならない。
第1に、北韓による日本人拉致被害者の救出に全力を尽くすことだ。拉致被害者たちは数十年にわたって、北韓に計り知れない貢献をしたはずだ。その「功」に免じて北も聞く耳を持つかも知れない。
第2に、脱北者を支援すること。彼らはかつて朝総連に大きく貢献した人々ではないか。必死の思いで逃れてきた同胞たちに対し、朝総連は「民族の反逆者」と罵るが、本心ではあるまい。
第3に、地方参政権運動に賛成することだ。
以上が最小限の条件であり、朝総連の幹部人士をして「大悟覚醒・改過遷善」された時、初めて和解すべきである。
この際、3機関長に要望しておきたい。6月24日の臨時中央委員会は、異様な雰囲気の中であったとしても、多くのメディアの前で大失態を演じた。新3機関長選出の臨時大会においても、金銭や怪文書が乱舞した。百年河清を待つだけではダメだ。それぞれの立場で、然るべく対処されるよう望む。
支部役員激励を
団長には特に、次のことを望みたい。本国出張は、民団主催の行事以外は控え目にされ、今回の事態の失地回復のため、そしてより良き明日の民団のため、可能な限り全国津々浦々、民団の底辺を支えている支部の役員たちを激励して欲しい。 各支部とも、財政難、人材難で呻吟している実情を念頭におかれ、活躍されんことを期待したい。
(2006.11.1 民団新聞)