掲載日 : [2006-11-29] 照会数 : 11864
銀盤のニンフ・金妍兒…韓国氷上界に新ページ
[ フィギュアGP初優勝を飾った金妍兒 ]
天性を磨いた猛練習
16歳の新鋭・金妍兒(キム・ヨナ)のフィギュアスケート世界制覇によって、韓国氷上界は新たな1ページを開いた。
ヨナは19日パリで開かれた06‐07国際氷上競技連盟(ISU)シニアフィギュア・グランプリシリーズ4次大会女子シングル・フリーで金メダルを獲得、111年の韓国氷上競技史に金字塔を打ち立てた。ジュニアからシニアに転出してわずか8カ月だった。
韓国の冬季スポーツのメダルボックス役は、ショートトラックとスピードスケートの短距離など、トラック部門に偏重していた。ヨナの今度の快挙は、韓国を「氷上強国」に加える大きな意味を持つ。
ヨナは競技直後のインタビューで、「シニアでもずっと良い成績を出せるよう頑張る。オリンピックまでは時間がある。今はそれを考えずに一つひとつの競技を大事にするつもり。観衆から長く記憶される選手になりたい」と抱負を述べた。
父・金賢錫(50)さんと母・朴美姫(48)さんもスポーツ人ではない。だが、平凡な家庭の2人姉妹の妹であるヨナは、「練習の虫」と言われてきた。早朝は自宅の軍浦アパートでランニングとストレッチング、学校の授業を終えると、午後は体力作り、夜10時から翌日午前1時まで、果川室内リンクでの練習と続く。
過酷な日課だが、ヨナは一言も不満を言わない。むしろ練習が面白いと微笑むなかなかの意地っ張りだ。世界の頂上には言葉だけでは立てない。フィギュア選手が夢だったという母・美姫さんの存在が大きいのは事実だが、何より自らの熾烈な努力があったから「金妍兒神話」が可能だった。
161㌢の身長に43㌔の体重。あまり大きい背ではないが足は長い。体の線が綺麗で、東洋人の弱点が見あたらない。小さくて可愛らしい顔、長い脚は大きい動作につながって人目を引き、生まれつきのフィギュア選手という評価を受ける。
一見弱そうに見えるがジャンプ力が強い。滞空時間が長ければ3回転半など高難度技術を消化するのに有利だ。もちろん弱点もある。それはスタミナだ。今大会で難易度の高い技術を序盤に配置したのもペース配分のためだ。
2010年バンクーバー冬季オリンピックでヨナが金メダルを取ったとしても、韓国氷上の位置は「砂上の楼閣」に過ぎないとの指摘が多い。現在国内フィギュアスケート登録選手は100人もいない。総合選手権大会に出場する選手の数は、全体登録選手の50%もならないのが現実だ。また国際大会での入賞記録もヨナを除きまったくない。
韓国氷上界にとって、ヨナの優勝がもたらした国民の熱い声援を追い風に、底辺拡大を図って「第2の金妍兒」を育て、氷上強国の可能性を確かなものにするのが急先務である。
(2006.11.29 民団新聞)