掲載日 : [2006-11-29] 照会数 : 6425
アジアの隣人が連携 円卓会議で悩み交換
[ 地域で共に生きられる社会の実現を訴える在日外国人と日本人有志 ]
ネットワーク構築めざす
共生社会実現へ青写真も
韓国・朝鮮、中国、フィリピン、ペルー、日系ブラジル人などさまざまな文化的背景をもって日本で暮らす外国人が26日、東京の法政大学市ヶ谷キャンパスで「円卓会議」を開き、定住化に伴うさまざまな問題の解決に向けて意見を交換した。これは在日外国人がそれぞれのコミュニティーの枠を超えて出会い、ネットワークを構築していこうというもの。
在日同胞と日本人有志が架け橋に
円卓会議は「多文化共生への青写真を提案したい」という在日3世の姜誠さん(ノンフィクション・ライター)と田嶋淳子さん(法政大学社会学部教授)をはじめとする大学の研究者たち、および法政大学多文化共生サークルの学生らでつくる「在日外国人ボランティアネットワーク」のメンバーらが準備した。トヨタ財団「アジア隣人ネットワークシステム」の助成を受けている。
この日は弁護士の師岡康子さんが多文化共生教育フォーラムの活動について報告。これを受けて出席者120人余りが外国籍の子どもたちの教育を受ける権利がどう侵害されているのかについて具体的に問題を出し合った。後半は東京・新宿で韓国の生活文化の普及活動に取り組む金根煕さんが実践を報告し、共生のあるべき姿について活発な意見交換を行った。
姜さんは、ブラジル人学校に通う日系人がJR定期券割引の適用を受けられず、各種スポーツ大会への参加も制限されている実情を指摘し、「かつて朝鮮学校の子どもたちが経験したのと同じ差別を味わっている。お互いネットワークを組み、解決へ知恵を出していこう」と呼びかけた。
会場からも法政大学多文化共生サークルに所属する在日韓国人3世のボランティアが、「在日コリアンはコリアン、在日ブラジル人はブラジル人で固まり、問題を共有できていない。お互いに知恵を共有し、出し合ってネットワークをつくってもらいたい」と呼びかけた。
来年以降の円卓会議には行政から関係者を呼び、今回出された問題点の具体的な解決策を探っていく。助成期間が終わる2年半後には最終的な政策提言をトヨタ財団に提出していくことになっている。このほか、07年にワールドキッズ・フットサル、08年には在日外国人によるネットワーク構築のためのインターネットラジオを実施する。また、各エスニシティ間の相互訪問なども計画している。
問い合わせ先メールは
kan-son@fa2.so-net.ne.jp。
(2006.11.29 民団新聞)