掲載日 : [2006-12-06] 照会数 : 8652
<金剛学園特集>「変わる」「変える」 07年夏、新キャンパスへ
[ バスケットボールの公式コートを確保している体育館(完成予想図) ]
広さ約3倍の好立地に
狭い古い 負のイメージ一新へ
学校法人金剛学園(金漢翊理事長、 平海校長)=大阪市西成区梅南=が07年夏、待ちに待った新キャンパスに移る。移転先の大阪市住之江区南港コスモスクェアは通称「海の新都市」とも呼ばれている。海に囲まれた緑豊かで自然環境にも恵まれる立地環境は、東京でいえばお台場を思わせる。情報の発信、経済、文化の要となる施設が整備され、国際学校を目指す金剛学園に相応しい。通学時間も鶴橋から電車で30分以内と恵まれている。移転が金剛学園の新たな飛躍の担保となることが期待されている。
教育環境が改善
移転先の敷地面積は8703平方㍍。これは現校舎の2・7倍に相当する。運動場は現在の4倍の広さになる。旧敷地では直線トラック50㍍だったのが100㍍に延びる。
新校舎は鉄筋コンクリート4階建て。延べ床面積は4500平方㍍。建物については公共事業の立ち退き補償の性格から現行の機能回復を目的にしているため、現在の規模と同程度になる。体育館は2階建て。バスケットボールの公式コートの広さを確保している。
周囲は海と豊かな自然に囲まれ、野鳥園は徒歩で通える範囲内。近隣にはアジアトレードセンターがある。同学園の鄭文植事務長は「教育環境が変わることで人間としてどう変わるのか楽しみ。きっともっと勉強しよう、アジアから世界に羽ばたこうという人材がでてくるはず。国際学校をめざす金剛学園に相応しい」と期待している。
生徒数が増加傾向にあるだけに、その受け皿として将来的には隣接地1万2297平方㍍を買収して教室数を2倍に増やし、寄宿舎も設置するなど、学校本来の機能を拡充していこうとの計画もあるという。これは自立経営という観点からも避けて通れない。
移転費用3億円
金剛学園が移転を迫られるようになったのは、大阪市の都市計画実施に伴い、小学校の現校舎全体が計画道路「加島天下茶屋線」に収用されるようになったためだ。事業は96年10月9日に認可され、金剛学園は当初、06年中の立ち退きを迫られていた。
これに対して一部理事からは「移転は我々が望んだものではない。新校舎そのものを市が補償するべきだ」とする意見もあった。だが、金剛学園としても現校舎が建立から50年を経て雨漏りがするなど老朽化していること、耐震性にも問題があり、最終的に移転を選択せざるをえない事情があった。
理事会では北津守、南港、八尾南高校の3つの移転候補地を現地調査した結果、南港がITインフラが整い、「産学連携の研究開発拠点の形成」をめざしているなど、韓国系国際学校を目指す同学園の移転予定地として最適と判断した。
ただし、大阪市が示した機能回復の公共補償費用は9億5330万円。減耗費などを差し引くと8億1200万円が支払い額だった。設計事務所の概算見積額9億8800万円に対して1億7600万円の不足額が生じる。新しい什器備品を購入したり、冷暖房設備などの環境整備も考慮に入れれば2億5000万円〜3億円余りが不足する計算だ。
理事会ではこの不足分について「みんなで助け合おう」(崔長煕理事・民団西成支部支団長)と呼びかけている。
金剛学園とは
1946年4月に西成朝鮮人学校として開校。約60年の間、5000人におよぶ卒業生を輩出してきた。近年は、韓国と日本、そして世界を結び21世紀の国際社会で活躍する人材を育成する国際学校を目指している。生徒数は小中高合わせて349人(06年11月7日現在)。
(2006.12.6 民団新聞)