掲載日 : [2006-12-06] 照会数 : 7833
<中央本部>元気な民団へ手応え
[ 東京本部研修会で激励する鄭進団長 ]
対話優先で信頼修復
支部激励 ぜひやりたい
5・17事態と在外国民補助金問題で、大きな痛手と威信失墜を招いた民団を、再び希望を託すことのできる組織へと再生すべく、9月21日に出帆した鄭進執行部。この75日間、主要機関・部署の人事を整える一方で、各地方協議会や地方本部研修会を通じ、諸懸案について意思疎通を図ってきた。鄭団長は「新執行部に対する期待の大きさと、民団に元気を取り戻そうとする意欲の強さを実感する」と語った。
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鄭進団長「就任75日」で語る
鄭団長は11月21日の四国地協を皮切りに、中国地協(24日)、関東地協(28日)、中北地協(12月5日)と連続参加。また、12月2日の東京本部研修会にも激励に駆けつけた。河政男事務総長や徐元組織局長らが講師を務める地方本部研修会も北海道本部(11月9日)、福岡本部(10日)、長崎本部(11日)、静岡本部(22日)、滋賀本部(26日)、神奈川本部(12月3日)と相次いだ。
鄭団長は自ら参加した地協や研修会はもちろん、地方本部の研修を担当した幹部の報告を通じて、「各本部とも人がいない、財政が苦しいと言いながら、活性化への努力を放棄しないでさまざまに工夫を凝らしている。自分の長野本部団長時代が恥ずかしくなるほど、それぞれが精一杯頑張っていることに感銘を受けた」と言う。
地協・研修会で論議の中心は、5・17事態の真相究明、補助金の会計処理の透明化、支部・本部の活性化だ。
5・17事態については、執行部の「見解」が10月30日の全国地方団長・中央傘下団体長会議で周知・確認され、事実経過や真相については調査委員会が次期中央委員会に報告する予定であり、そこで処分の必要があると判断されれば、当該機関に委ねることになっている。
だが、北韓による7月のミサイル連続発射や10月の核実験強行は、民団幹部にも危機感を募らせており、総連に対するより厳格な姿勢や、民団に浸透しようとする韓統連、統一教会が母体の平和統一連合に対して、警戒心を高め、組織的な対処を求める声は依然強い。
これに対し鄭団長は「正常化の緒についたといっても、全国幹部の懸念は消えていない。民団周辺の政治的な状況について今後、集中して学びあう機会を増やす必要を痛感する」と語った。
補助金問題については、その使用指針は民団の実態に即しているのか、民団も言うべきは言い、むしろ増額を要求すべきだ、との意見が相次ぐ一方で、中央と地方のバランスなど会計運営の在り方に厳しい指摘もあった。これについては、11月27日の鄭団長の財政問題談話に明示されたように、執行部は透明度とともに自立度を高めていく姿勢を鮮明にしている。
鄭団長は「政府当局とは見解の相違があるにせよ、過去に信頼関係を損ねかねない面があったのは事実だ」と述べ、「私や副団長みなが奉仕の精神に徹底するだけでなく、認めるべきは認めて率直に語り合うことで、誤解が消え、理解が広がったと思う」と自身の見解を明らかにした。
各地から提起された要望や意見はほかに、10年、20年後をにらんだグランドデザインの提示、地方参政権運動の再活性化方案の策定、青年会や事務局長などの人材養成、常勤幹部の給与安定化、民団業務の早期IT化、再入国手続・外登常時携帯義務の廃止運動、過疎地域に即した運営(規約)方案など、人材育成・財政確保・民団の方向性の3つに絞られる。
鄭団長は「地域の特殊な問題、全国共通の問題とあるが、課題の優先順位を明確にして取り組む」とした。「一線組織活性化のため、中央団長自ら支部まで足を運び、意見交換や激励の場をつくって欲しい」との要望が全国で相次いだことに対して鄭団長は、「パスポート期限が10年に延長され、団員の足が民団から遠のくとの懸念がある。だからこそ、戸別訪問を積極的に行い、こちらから訪ねていくという姿勢に励まされる」と、各地の取り組みを評価したうえで、「就任間がないこともあって、体制固めと行事処理に追われた。年末年始は厳しいが、時期を見てなるべく早く、支部巡回に積極的に臨みたい」と改めて決意を示した。
(2006.12.6 民団新聞)