韓国日本合作映画 「あなたを忘れない」
李秀賢さん7回忌翌日 1月27日全国一斉公開へ
01年1月26日、東京・新大久保駅でホームから転落した見ず知らずの男性を救おうとして韓国人留学生、李秀賢さんらが犠牲になった。韓日両国に衝撃を与えた事故から5年余、李さんの生き様を描いた韓日合作映画『あなたを忘れない』が完成し、7日に東京の憲政記念館で試写会が開かれた。前評判も上々で、500余人が詰めかけ満席となった。まっすぐに生きた李秀賢さんの在りし日を描いた作品は、観客に「生と死」、韓日関係の意味を問いかけた。琴線に触れて目頭を押さえる姿も多かった。7回忌の翌日の07年1月27日から全国で公開される。
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境界またぐ絆と命の賛歌
力強く生きる姿に好感
優しさが大きな勇気に
上映後、横浜市の同胞女性は「殺伐とした今の世の中を、一途な2人の若者が互いを思いやりながら、力強く生きていく姿に好感が持てた」と若者のひたむきさを挙げ、別の女性は「主人公役の李テソンの清々しさが印象的。私も一緒に釜山、富士山、日本の各地を旅した気持ちになった」と感情移入していた。
家族の絆や命の大切さを指摘する声もあった。
「韓国と日本、在日という3つの立場を考えさせられた。李秀賢さんの人生は、悲しい結末に終わったが、家族、友人、周囲の人たちの愛と情の世界があったことに、救われる気持ちになる。家族の絆の強さは、人間が生きていく上で大きな強さになり、国と国との大きな流れの中でも大切なことだと感じた」と語った。
ピアニストの日本人女性は「今、社会ではいじめによる自殺が大きな問題になっているが、この映画は〞命の使い方〟を通して秀賢さんの生き方を教えてくれるもので、深く感動した。人への真の優しさが、日常生活の中、ひいては日韓や南北朝鮮という大きな世界に向けてもどんなに大切か、そして優しさがこんなにも大きな勇気と力になるのだということに打たれた。夜空に小さく、しかし力強く美しく輝く星のようなものをいつまでも残してくれる映画。一人でも多くの人に観てもらいたい」とほとばしる感情を表現した。
一方、「生と死」に向き合ったという50代の同胞男性は「忙しさにかまけて家庭を顧みる精神的余裕がなかったが、女房、子どもに優しい言葉をかけてやりたくなった」としんみり語った。40代の男性は「ぜひとも在日が音頭をとって、日本の友人と連れ立って観るべきだ。韓日の友好・共生に大きなプレゼントになると確信するから」と強調した。
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映画のあらすじ
97年、釜山。スポーツマンでアマチュアバンドも率いる若者スヒョン(秀賢)は、兵役を終えて大学に戻った。これからの進路を模索する彼は、祖父や父と日本との関わりを知り、日本留学を選択する。
99年、東京。日本語の勉強、アルバイト、旅。韓日を隔てる固い壁に突き当たり、悩みながらも恋が芽生え、夢が膨らむ。「ぼくは音楽とスポーツを通して2つの国を結びつけたい」
01年1月26日、雪の夜、新大久保。20世紀も終わり、充実した日々が始まっていた。目標が生まれたスヒョンは迷いなくまっしぐらに駆け出そうとしていた。
その時、運命の日は突如やってきた。
韓流スターのクウォン・サンウらも興味を示していたという秀賢役には、公開オーディションに応募してきた2000人の中から新人俳優の李テソンが選ばれた。
「秀賢がごく普通の青年だったという事実にこだわりたかった」と三村順一プロデューサー。
父親役に「冬ソナ」でサンヒョクの父を演じたジョン・ドンファンを起用。日本側は個性派俳優の竹中直人や原日出子、金子貴俊らが味のある演技で魅了する。上映時間2時間10分。
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割引チケット
入場料は一般1300円のところ民団を通じて購入すれば1200円で鑑賞できる。
チケット申し込みは最寄の民団本部・支部または中央本部宣伝局。
℡03・3454・6375 FAX03・5419・7555 メール
senden@mindan.org
(2006.12.20 民団新聞)