好・共生へゆかりの地が発奮
江戸時代の善隣友好使節団、朝鮮通信使が初めて訪れたのは1607年のこと。今年は400周年の節目にあたる。これを記念し、ゆかりの自治体ではさまざまな記念行事を計画している。このうち代表的な16の市・町から韓日友好、共生へのメッセージを寄せていただいた。
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先人の思い深める
栃木県 日光市 斎藤文夫市長
日本国内における長い戦乱の世を終結させた徳川家康が、久しく途絶えていた朝鮮との国交の回復を願い、その友好のあかしの使節団である通信使が、わが国を訪れて四百年の節目の年を迎えることができましたことは大きな慶びであります。
互いの伝統や文化を尊重し、友好関係を深めてゆくという両国の思いは、家康が日光の地に祀られた後も通信使の一行が幾度か当地に足を運んだことに現れています。先人達のこの思いを受け継ぎ、さらに深めてゆくことが、私たち日光市民の責務と考えております。『善隣友好・誠心交隣』の交流が幾久しく続きますことをご祈念いたします。
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入城400年祭かねて
静岡市 小嶋善吉市長
07年度、静岡市は「次代創造」をスローガンに「大御所四百年祭」を開催いたします。徳川家康公が大御所として駿府城に入られた1607年は最初の通信使がわが国を訪れた年でもあります。その通信使の実現には、両国の困難を乗り越える信念、知恵そして勇気が必要であったに違いありません。私たちは両国の先人が示してくれた善隣友好の道を学び、本年を次代につなぐ一年にしてまいります。どうか静岡市にお力添え賜りますようお願いいたします。
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交流のなごりいまも
岐阜県 大垣市 小川 敏市長
あけましておめでとうございます。今年は1607年に朝鮮通信使が来日して400周年の記念すべき年となります。
本市においても沿道の民衆と盛んに文化交流が行われ、市内竹島町の「朝鮮山車付属品」や十六町に伝わる「豊年踊り」などにその面影を見ることができます。
05年には本市におきまして朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会大垣大会を開催いたしました。朝鮮通信使ゆかりの市町村の皆様をはじめ、韓国からも朝鮮通信使文化事業会の皆様にご参加いただき、日本と韓国との友好親善に大きく貢献できたのではないかと思っております。
今後とも朝鮮通信使の基本理念である「誠信の交隣」に基づき、日韓の交流の輪がますます広がりますことを祈念いたしまして挨拶とさせていただきます。
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地元民団の協力あおぎ
京都市 桝本頼兼市長
在日本大韓民国民団におかれましては、日ごろから韓国と日本の友好親善と共生社会の実現に向けて多大の御尽力を重ねられており、そのお熱意に深甚なる敬意を表します。
韓国と日本は、これまでの永い歴史の中で文化や経済など、幅広い分野において交流を深め、相互理解に努めて参りました。
朝鮮通信使の縁の地である京都市におきましても、朝鮮半島の歴史や文化を紹介する市民フォーラムの開催や、韓国と日本の青少年が相互に訪問し、ホームステイなどを通じて友情を深め合う交流事業など、在日本大韓民国民団京都府地方本部をはじめとされる多くの市民の皆様とのパートナーシップのもと、韓国と日本両国のさらなる友好関係の発展に向けて多彩な取組みを進めております。今後とも,これまで培って参りました友情を更に発展させ,未来にわたって確固たる信頼関係を構築致したいと存じております。
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多文化共生を目指す
滋賀県 近江八幡市 冨士谷英正市長
韓国と本市との関係で重要なこととして認識しておりますのが、朝鮮通信使一行の通られた道が「朝鮮人街道」として現存していることです。また、通信使一行の行列の当時の様子を知る絵巻物や屏風などの遺品や記録も多く残されています。
去る2002年に朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会近江八幡大会を開催させていただきましたが、このことを契機に、市民の朝鮮通信使に関わる歴史はもとより、韓国文化等への関心と理解の一層の促進が図られ、多文化共生のまちづくりに向けての取り組みが広がりつつあります。この400周年を機に今後も日韓両国の友好関係が「誠信交隣」にもとづく相互尊重と理解のうえに、一層深い絆で結ばれることを期待しております。
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秋に全国交流会開催
滋賀県 彦根市 獅山向洋市長
在日本大韓民国民団におかれましては、韓国と日本両国の相互理解の増進と友好親善の発展のため、長年にわたりご尽力いただいておりますことに深く敬意を表する次第でございます。
私ども彦根市は通信使の宿泊地のひとつであり、この記念すべき年に心からお祝い申し上げます。
本年はまた、本市にとっても彦根城築城400周年という記念の年でございます。年間を通して記念の事業を行う中で、秋には朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会を開催し、この記念すべき年を盛り上げていきたいと考えています。
隣国である韓国と日本の友好の輪がさらに広がりますとともに、貴団の益々の発展を祈念申し上げます。
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小中学生交流を継続
滋賀県 高月町 北村又郎町長
朝鮮通信使が善隣友好・誠心交隣の外交を行った中で、当町出身の雨森芳洲先生が2度の通信使をお迎えし両国の友好関係に努められました。
その芳洲先生の朝鮮外交に対する精神を尊みて当町においてはこれまで韓国と日本の国際交流として小中学生対象のホームステイが行われ、昨年度においてもこども通信使2006をお迎えし、町民との新たな交流が行われたところです。
既に両国産業のつながりは強固なものとなっておりますが、このようなこどもたちの交流は、韓国と日本にさらに強い友好の絆をもたらすものであり、両国の精神の相互理解を必ずや深めてくれるものと確信しております。
これからも友好親善の交流を行い、両国の理解が益々深まるよう努めてまいりたいと考えております。
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新春に専門家講演
神戸市 矢田立郎市長
現在の神戸市兵庫区の沿岸地域にあたる兵庫津は古来より良港として栄え、使節団の寄港が11回もあった地です。兵庫区においては01年より貴団体の皆様も参加され、朝鮮通信使行列再現披露が行われており、また、この歴史的な善隣友好の意義を多くの方々に知っていただくため例年、朝鮮通信使講演会を開催しております。新春には専門家の方をお招きし「江戸期の朝鮮通信使の足跡を訪ねて」と題する講演会の開催も予定しております。
本年も貴団体の皆様におかれましては朝鮮通信使の故事にも習い、今後とも日韓両国の相互交流と相互理解を深めるため友好親善の架け橋として益々ご活躍いただくことを心より期待いたしております。
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心のこもった交流を
兵庫県 たつの市 西田正則市長
日韓善隣友好の歴史的遺産である朝鮮通信使をとおして、日韓の縁地間での交流ができることは非常にすばらしいことであります。
朝鮮通信使ゆかりのまちであるわがたつの市の室津は歴史のある港町でこの地に『善隣友好・誠心交隣』の使節であった朝鮮通信使が訪れたことは大変、意義深く、誇りになることです。
友好の証である朝鮮通信使が残した『心のこもった日韓の交流』が、これからも幾世代に引き継がれ、両国のさらなる友好と交流につながっていくことを心より祈念します。
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松雲大師の功績を継ぐ
岡山県 瀬戸内市 立岡脩二市長
朝鮮通信使の寄港地であった我が瀬戸内市は、一昨年、その礎を築いた松雲大師の生誕地である密陽市と友好交流協定を締結し、その共有の歴史を縁に着実に友好関係を深めております。
今に生きる私たちは、朝鮮通信使が伝えた善隣友好・誠心交隣の精神を今一度見つめ直し、日韓友好の架け橋となった功績を引き継ぎながら次代に伝えていく責務があります。
瀬戸内市におきましても、朝鮮通信使の精神を念頭に、関係団体と連携しながら積極的に各種の記念事業を展開する予定でございます。
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相互理解の輪さらに
広島県 呉市 小村和年市長
呉市では、03年に「朝鮮通信使ゆかりのまち」である下蒲刈町と合併し、昨年、そのご縁で「朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会 呉・下蒲刈島大会」を開催させていただきました。大会には、全国の縁地自治体や関係民間団体をはじめ、韓国からも多数ご参加いただき、善隣友好の象徴である朝鮮通信使の精神の下、交流の輪を広めることができました。
今後とも、相互理解のもと、さらなる友好を深め、未来に向けて確固たる信頼を築きあげたいと考えております。最後になりましたが、在日本大韓民国民団の一層のご発展と、皆様のご健勝を祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。
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浦項市との交流拡大
広島県 福山市 羽田 皓市長
福山市の港町、鞆には通信使が11回訪れ、特産の保命酒を愛でながら対潮楼からの眺めを絶賛し「日東第一形勝」の書を残しました。対潮楼から眺める初春の景色は今も変わらず、穏やかな瀬戸の島々と四国の連山を見渡すことができます。
福山市は1979年に浦項市と友好都市提携を締結して以来,交流を重ねています。今回の400周年を機に朝鮮通信使が築き上げた誠心交隣の輪をさらに広げ,両国の相互理解を深めていきたいと考えております。
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縁地の町として誇り
山口県 上関町 柏原重海町長
瀬戸内海の海上交通の要衝に位置する上関は、海とともに歩んできた数々の歴史とロマンに育まれてきた港町であり、古くは遣新羅使の詠まれた万葉集や韓半島にかかわった地名なども遺っています。
とりわけ江戸時代、朝鮮通信使の一行が本町を訪れた輝かしい歴史は、私たちの誇りとするものであり近年、全国的に朝鮮通信使がクローズアップされ、国内はもとより貴国の人々も本町を訪れ、縁地の町として大変喜んでおります。
本年は、朝鮮通信使来日400周年にあたり、心新たに「誠信交隣」を旗印に信(よしみ)を深め、小さな町ではありますが、町民一丸となって活動してまいりますので民団の皆様におかれましても両国の「善隣友好」の架け橋としてご活躍賜りますようお願い申し上げます。
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7、8月に記念行事
長崎県 対馬市 松村良幸市長
韓国・釜山までわずか49・5㌔に位置する対馬は古くから韓半島との交流窓口として重要な役割を担ってきました。現在では釜山港との間に高速旅客船が就航し、年間4万人ほどの韓国人が対馬を訪れています。
本年は朝鮮通信使来日400周年にあたり、対馬では7〜8月に記念行事を計画しております。 豊臣秀吉の朝鮮侵略の後、通信使の復活に命をかけて交渉にあたったのが対馬藩であり、復活後も釜山の倭館に500人が常駐し、通信使来日の事前準備から江戸往復の先導・警護を務めた歴史があります。
本年5月から全国各地で開催される江戸時代朝鮮通信使の400周年記念事業が成功して、日韓両国の友好の絆がさらに強固なものになるように私たち対馬市民も心新たに活動してまいりますので、民団の皆様も両国の架け橋としてご活躍賜りますようお願い申し上げます。
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現代の通信使に期待
福岡県 新宮町 中野昌昭町長
史料によりますと、1607年(慶長12年)3月22日に第1回朝鮮通信使が、新宮町相島(あいのしま)の地に上陸して以来12回の来日のうちそのほとんどの通信使が相島の地を往来されています。その時のことは、現在でも島の人たちに脈々と受け継がれており、特に、島の子供たちは、第7回通信使(1682年7月来島)をテーマにした創作劇『石の唄ひびけ』を完成させました。
これは、2005年に釜山で開催された「日・韓 子供交流舞台」でも上演され、大好評であったと聞いております。さらに、昨年10月には、相島に造詣が深い朝鮮通信使文化事業会の姜南周委員長が橋渡し役となり、本町の小学校3校と釜山市の盆浦初等学校による姉妹校締結が実現しました。私は、この21世紀のちいさな通信使たちが、互いの文化や習慣を理解し、日韓友好のきずながさらに深まっていくことを願います。
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おもてなし料理再現
山口県 下関市 江島 潔市長
一行は本土最初の寄港地である下関市阿弥陀寺(現赤間神宮)前の桟橋に接岸し上陸しました。神宮前の阿弥陀寺公園内には上陸記念碑が建立されています。下関市では400周年を記念、朝鮮通信使行列や韓国おもてなし料理の再現事業を予定しています。
また、来年には行列に加え、朝鮮通信使縁地連絡協議会総会及び朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流大会を本市において開催し、両国の交流を深めてまいります。今後とも皆様方には日韓両国の相互交流・相互理解の架け橋としてお力添えをお願い申し上げます。
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朝鮮通信使訪日400周年記念行事
【静岡市】
○5月21日〜6月10日
朝鮮通信使関係資料展示−市内の朝鮮通信使関係資料を中心に展示し、家康の外交政策から朝鮮通信使を概観する。
○5月19日
第13回朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流大会。朝鮮通信使縁地連絡協議会理事会の開催。
朝鮮通信使行列再現 市民公募参加・韓国の朝鮮通信使文化事業会の協力者招聘。
○5月20日
朝鮮通信使遺跡など視察−家康・朝鮮通信使関連遺跡など。
【対馬市】
○7月19日〜22日
通信使外交塾の開催。
日韓の青年30名が朝鮮通信使の学習と意見交換会、自然体験を行う。
○7月21日
万松院まつりの開催
第19代対馬藩主宗義智公の顕彰。
○7月14日〜8月26日
朝鮮通信使特別展−長崎県立対馬歴史民俗資料館の開館30周年記念事業として開催。
○8月5日
厳原港まつり対馬アリラン祭において朝鮮通信使行列再現。
【下関市】
○8月25日
朝鮮通信使行列再現・朝鮮通信使服飾ファッションショー。
【彦根市】
彦根城築城400年祭記念行事の一つとして開催。
○10月7日
第14回朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会。朝鮮通信使縁地連絡協議会の理事会・総会の開催。
○10月8日
朝鮮通信使行列再現、フィールドワーク。
【呉市】
○10月21日
下蒲刈島で朝鮮通信使再現行列
【東京都千代田区】
○9月29日〜30日
江戸天下祭のパレードで朝鮮通信使行列再現。
日韓芸能公演(日比谷公会堂)、縁地都市観光物産展など。
【瀬戸市】
○11月1日〜18日
朝鮮通信使特別展(海遊文化館)
○11月17日
遊SEA牛窓・エーゲ海フェスティバル2007において開催。
・講演『松雲大使と朝鮮通信使』
・パネルディスカッション『朝鮮通信使が現代の牛窓に甦る』
・友好交流協定を締結している韓国密陽市との交流の夕べ。
○11月18日
朝鮮通信使行列再現、朝鮮通信使関連史跡ウォーキング。
(2007.1.1 民団新聞)