掲載日 : [2007-01-01] 照会数 : 11656
2007年はどんな年?
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前外交通商部長官の潘基文氏が1月1日、韓国人初の国連事務総長として始動する。民族・宗教・国境紛争が多発し、大量破壊兵器拡散やテロに悩む国際社会を国連の顔としてどう導くのか。とくに、昨年末に再開された6者協議に進展がなければ、北韓に対する国連制裁決議の履行など膝元の北核問題への対応が注目されよう。
潘事務総長は「北韓の人権状況は改善されるどころか一部では悪化している。事務総長の権限と国連の機能を最大限活用し、人権の実質的改善に最大限努力する」と語っている。
韓日中3国の歴史認識問題に改善の見込みは薄く、それぞれがナショナリズムを高揚させ、政治対立を深化させる構造に目立つ変化は望みがたい。
韓国と中国の高句麗歴史紛争は、中国がこの1月28日から始まる第6回冬季アジア大会の聖火を白頭山の天池で点火したことから、より熱を帯びる傾向にある。
昨年末に改定した教育基本法に国家主義的色彩を盛り込んだ日本は7月22日、参議院議員選挙を迎える。核開発・拉致事件の北韓、台頭する中国、独島問題を含む諸懸案を抱える韓国などアジア政策が焦点となり、靖国問題も絡んでナショナリズムを刺激する可能性がある。12月19日に大統領選挙がある韓国も、北韓政策をめぐる葛藤を激しくさせ、それとも関連して対米、対日ナショナリズムを高揚させかねない。
だが、韓日中3国の大手企業による連携強化は加速度的に進展しており、これを背景に3国は、今年早々にもFTA(自由貿易協定)締結を視野に入れた投資協定交渉に入る。文化・経済の潮流は東北アジアの共生に着実に向かっている。
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日本の社会的な側面から見る今年は、同胞を含む団塊の世代が60歳になり始める最初の年であり、熟練技術者などの一斉退職にともなう「07年問題」が浮上している。社会構造が目立って変動し始め、経済活動にも大きな影響をもたらそう。
在日同胞の主要産業である遊技業は、射幸心の抑制政策や税制の改定にともない、再び冬の時代を迎えると危惧されている。道路交通法の改正で打撃を受けた郊外型飲食業も厳しいサバイバルに晒されたままだ。既存事業体の経営効率の向上はもちろん、新たなビジネスチャンスの開拓が望まれている。
外国人登録令が公布されて、この5月で60年になる。民団社会からは外登証の常時携帯制度の廃止はもちろん、再入国制度の見直しを求める声も高まりそうだ。新しい教育基本法のもとで、団員子弟をはじめ日本を「我が国」と呼べない外国人児童・生徒には、どのような境遇が待っているのか、深刻なイジメ問題と合わせて懸念が広がっている。自治体との交渉力や地域社会との共生力が改めて問われ、民団は新たな視点からこれらの活動にチャレンジする必要がありそうだ。
半面では、韓日間の相互理解を助ける良質な大衆文化の交流はなお盛んであるのに加え、今年が朝鮮通信使400周年であるところからゆかりの地域では各種イベントが予定されていて、韓日親善ムードは盛り上がりそうだ。
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民団は5・17事態によって延期を余儀なくされていた創団60周年の式典やイベントを実施する。2月27日が結成30周年の青年会中央本部は、11月に式典を開催する予定だ。同時に、草創期のメンバーを中心にOB会の結成準備も進んでいる。
30年前はこのほか、「在日韓国人の生活擁護のための人権宣言」が3月28日、『差別白書』発行が5月14日、「差別撤廃100日間運動」が8月1日、池之端事件(青年会が韓統連の反韓・反民団策動を粉砕しようと暴力事態になった)が8月13日、中央組織学院の開院が10月29日と続き、30周年行事が目白押しだ。
「金敬得氏を日本国籍がないという理由で、不採用にしないことに決定した」‐最高裁が韓国籍の合格者に初めて、司法修習生採用の道を開いたのも3月23日だ。30年前の民団社会が、不可能視されたテーマに挑む起点をつくったことは、特記事項とされてよい。
民団60年史のなかでも、30年前の民団から学ぶことはとくに多そうだ。今年61歳を迎える民団は、還暦で生まれ変わって1年目(甲進=韓国では進甲=還暦後の新生年齢、数えで2歳)となる。新たな人生を本格的に始動させる年だ。
(2007.1.1 民団新聞)