掲載日 : [2007-01-17] 照会数 : 11021
李秀賢さん「あなたを忘れない」 慈善コンサート
[ 槇原敬之さんの熱唱に顔をほころばせる秀賢さんの両親(中央、右) ]
李秀賢さん「あなたを忘れない」映画完成
上映成功へ慈善コンサート
全国200館で上映へ…「友情」「共感」広げる
01年1月26日、東京・新大久保駅の列車事故で亡くなった韓国人留学生、李秀賢さんの在りし日を描いた日韓合作映画「あなたを忘れない」が27日から全国公開されるのに先立ち、12日、東京の日本武道館で秀賢さんを偲び、映画の成功を祈るチャリティーコンサートが開かれた。
会場には映画の主題歌をつくった槇原敬之さんら韓日のミュージシャンや出演俳優が音の共演と舞台挨拶を通して、秀賢さんが自らの死と引き換えに残した大切な生を淡々と語った。
「作り話ではない実話を元にした映画なので、撮影ではプレッシャーを感じた」と話す秀賢役の李太成さんは、「今、生きていることを幸せに感じてほしい。映画を観終わった後に、皆さんの両親に感謝の電話を一本かけてほしい。人間を愛する秀賢さんの心が皆さんにきっと届くはずだ」と詰めかけた7000余人の観客に語りかけた。恋人役のマーキーさんも「秀賢さんの残した言葉や行動を大切な人と感じてほしい」と続けた。
主題歌のオファーを2つ返事で引き受けたという槇原さんは、「見ず知らずの人のために、自らを犠牲にすることができるのか。事故後しばらくはショック状態が続いた。泣きながらみんなと重い事実を語り合った」と心情を吐露し、「秀賢さんの勇気ある行動を風化させてはならない」と強調した。
会場には釜山在住の李さんの両親も招かれ、主演の2人から花束が贈られた。母親の辛潤賛さんは「事故の後は、これからどうやって生きてゆけばいいかと思ったが、多くの方々の温かい慰めと激励で今は元気に暮らしている。映画のタイトル通り、秀賢のことをいつまでも忘れないでほしい」と語った。
日本のキャストが決まらないまま、韓国ロケを敢行したという強い思い入れで臨んだ映画の公開を前に、花堂純次監督は「音楽が持つ力、伝える力、俳優、スタッフの力が凝縮されている。是非映画館に足を運んでほしい」と訴えた。
27日からは全国約200館で上映が始まる。上映館情報などは映画製作委員会へ。℡03・6418・4980。
また、民団割引チケットに関する問い合わせは、各地方本部または中央本部宣伝局(03・3454・6375)。
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ストーリー
兵役を終えて大学に戻った李秀賢さんは祖父の代から続く日本との不思議な縁を知り、日本留学を決意する。韓国にいる間は「無断外泊」というロックバンドを主宰していたことから日本の音楽にも興味があった。
映画ではロックバンドのリーダーだった秀賢さんに焦点をあて、日本の路上ミュージシャンやインディのアーティストとの出会いを通して純愛と音楽、さらに韓日の若者文化の違い、家族観の違いなども絡ませ描く。
ラストは青春の喪失となったあの事故。01年1月26日、雪の舞う新大久保駅で酔っぱらってホームから落ちた日本人の若者を救おうとしてかなわず、その短い半生を終える。全編を通して韓日の「友情」「共感」が主要なテーマとなっている。
(2007.1.17 民団新聞)