新年会 会場の声
中央本部と東京本部が10日、都内で共催した07新年会には、韓国から約30人の来賓が出席し、韓日議連の文喜相会長らが新生民団にメッセージを寄せた。また、会場に詰めかけた地方本部の団長らも07年の年頭にあたり、中央への期待と抱負を語った。
中央執行委員の金泰勲・北海道本部団長は、「本国政府の補助金問題は全国の民団が一つになって解決していくことが重要だ。北海道ではニューカマーをはじめあらゆる同胞に門戸を開放し、民団に来れば横のつながりができるようにしたい」と抱負を語った。
同じく執行委員の呉英義・大分県本部団長は「今年は大きな分岐点になるだろう。これまでの各県体制など組織そのものをどう変えるべきか、求心力を高めるにはどうすべきか、根底から再検討すべき時期に来たと思う。共通の悩みである人材や資金の不足を解決するにはどうするのか、今年中に明確な方向性を示さなければならない。大分では若い世代が関心を示すようなイベントを企画したい」と続けた。
団員の声を聞け
林宏・栃木県本部団長は、「5・17事態で大きなイメージダウンを被ったが、60年間営々と築いてきた実績がある。失った信用は回復できるし、挽回しなければならない。重要なカギとなるのは韓・日市民レベルの文化交流だ。文化交流ならば共通の土俵に立つことができ、相手方の共感を得られる。交流が進めばこれが実績となり、大きなうねりができてくる。朝鮮通信使400周年にちなみ、日光市に対してさまざまな形で文化交流を提案していきたい」と語った。
一方、警鐘を鳴らすのは、金太河・福島県本部団長だ。「去年どん底を見たが、災い転じて福と成す契機にすべきだ。その前にわれわれは民団組織にあぐらをかき、マンネリに陥っていなかったか。団員の声なき声に耳を傾けてきたか。率直に反省しなければならない。団員のための組織という原点に返り、団員の声を吸い上げるシステムを作っていかなければならない」。
李寿源・足立支団長も、「中央から地方組織まで幹部の再教育が必要だ。団員に奉仕する立場を忘れて、知らず知らずのうちに傲慢な態度になっていたのではないか。誰のための幹部なのか、幹部として何をすべきなのか。いま一つは財政の自立だ。これまではスローガン倒れに終わっていたが、ぜひ第一歩を踏み出してほしい。旧態依然とした体制を打破し、民団の潜在的な可能性を引き出してほしい」と語った。
不透明な先行きを憂うのは、金豊成・千葉県本部団長。「本・支部とも3・4世世代をいかに民団に引きつけていくのかが悩みだ。オリニ事業に力を入れているが、集まりが芳しくない。何かやるべきだと思いながらも妙案が浮かばない」と民団離れを防ぐ処方箋を急ぐよう求めた。
財政確立急ごう
このほか、中央執行部に対する注文として、鄭義鳳・宮崎県本部団長は、「役職に就くことを個人の名誉と勘違いせず、新執行部には目標を明確に示してほしい。局長クラスには今以上に専門知識を身につけるよう望む」。宋一烈・体育会関東本部会長も、「仕事の決定、推進システム、責任の所在が意外と見えにくい。だから、何でもかんでも団長に行ってしまうところがある。幹部に責任と権限を持たせ、分かりやすくスピーディーな仕事の仕組みをつくってもらいたい」と要望を寄せた。
財政問題に言及したのは、孫孝・東京渋谷支団長。「鄭進団長は一生懸命やっている。これからも団員の目線に立った取り組みを望む。課題の財政問題だが、独自の財政基盤を築いてほしい」と要望し、金一雄・栃木韓商会長も、「財政問題を確立しないと、在日が在日として生きていけない」と続けた。
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文喜相 韓日議員連盟会長
韓民族の自負心 位相を高めよう
尊敬する在日同胞の皆さん!
丁亥年の新年が明けました。在日同胞皆さんのご家庭にあまねく万福が訪れることを心よりお祈り致します。
全世界に広がっている同胞社会の中、在日同胞社会が一番成功した社会というのは自他ともに認めるものです。
ところが去年、在日同胞社会内ではあらゆることが生じて大変だったと聞いております。そのうえに北韓のミサイル打ち上げと核実験などで韓半島の情勢まで不安定でありました。
しかし、朗報が多い年でもありました。北韓核問題解決のための6者協議が紆余曲折の末、再開された上に靖国神社参拝問題などで停滞していた韓日関係も安倍総理の訪韓で、正常軌道に戻りました。そして去年3月からは韓国人に対するビザが永久的に免除され、人的交流がさらに活発になりました。特に、潘基文外交部長官が国連事務総長に就任され、韓民族の位相を世界各地に知らせたことは、非常に嬉しいことでありました。
今年は民団が還暦を経て、初年度を迎える意味深い1年でもあります。この間、在日韓国人社会における民団の華々しい活躍は周知の事実ですが、今後解決しなければならない課題も山積していることも事実です。
親愛する在日同胞の皆さん!
個人間の摩擦であれ、集団間の葛藤であれ、それを解決する最高の手段は信頼です。信頼がない和合や統合はありえません。相手が自分と違うということを認めることから信頼の基盤が固まります。今年は信頼をもっと強固に構築する一年になってほしいと願うとともに、韓民族の自負心と位相をずっと高めていただくように祈ります。
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金守漢 韓日親善協会中央会会長
5・17事態克服 新鮮な感動呼ぶ
「雨降って地固まる」ということわざがあります。在日同胞社会の中枢神経として使命を果たして来た民団は、5・17事態以来、さまざまな混乱に陥り、大変な心痛をしました。しかし、在日同胞の総体的力量と知恵を発揮し、立派に乗り越えたことは、新鮮な感動をもたらしました。
私は在日同胞の皆さんに特別な愛情を持っています。在日同胞の献身的で涙ぐましい祖国愛が土台になっているからです。韓国が非常に貧しい時、在日同胞の献身的な経済的貢献がありました。60年代に展開したセマウル運動が盛んな時、在日同胞は故郷に橋を掛け、電気施設を設置し、再建の原動力を用意してくれました。村の会館と学校、敬老会館などを建設して国民福祉に貢献しました。
70年代の重化学工業育成の旗の下で飛躍する時、先端ノウハウを提供して祖国近代化に大きく貢献しました。洪水や台風などの自然災害が発生するたびに、在日同胞から送られて来る慰問金は言うまでもありません。そのほか、88オリンピックや2002ワールドカップ成功の基礎になった巨額の誠金、IMFで国家全体が搖れた時、祖国への送金運動を展開して国家的災難を乗り越える先頭に立ったのも在日同胞でした。
それほど大きな仕事をしながらも、韓国内で広く知られなかったということは、謙虚ながらも器の大きい在日同胞の特徴をよく現しています。
韓国では今年を「黄金の豚の年」と言い、大いに期待をする雰囲気があります。この年に在日同胞の宿願である地方参政権獲得問題や無年金障害者・高齢者問題などが円満に解決される一年になるよう大いに期待するものです。
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李求弘 在外同胞財団理事長
在日の底力こそ わが民族の模範
21世紀は民族が生存競争の単位になる時代だと言います。私たちは国権を喪失する恥辱と同族相争の悲劇まで経験するような、民族史に大変恥ずかしい汚点の歴史を生々しく憶えています。
しかし、私たちはこのような痛みを乗り越えて今や世界11大交易国として大きく立ち上がりました。世界は韓国の成長を20世紀の世界史の奇跡だと言います。これは韓民族の優秀な力量が、危機の中にあっても発揮された結果です。見逃してはならないのは、この過程で地球村のあらゆる同胞の功労が非常に大きかったということです。
特に、韓国が非常に厳しい時、在日同胞の献身的な経済的貢献が祖国発展の原動力になったのは、今さら強調する必要のない事実です。
現在、韓国は南北統一という民族的使命と東北アジアの中心国家としての跳躍、先進国隊列に参入という重大な課題が目の前にあります。
このような困難な課題をどのように解決していくべきでしょうか。それには韓民族がもう一度力を合わせなければなりません。本国内の国民はもちろん、地球村170余ヵ国に散在している韓民族の総体的力量と知恵をもう一度集めなければなりません。在日同胞は底力を、わが民族の模範にしなければならないのです
最後に、5・17事態によって惹起された在日内部の葛藤と軋轢を1日も早く統合と和合で修復させなければなりません。在日同胞社会と日本社会、本国との新しい関係定立に心血を注いで、日本社会で失墜された信頼を回復して共生・共栄の道を開いて行かなければなりません。
民族の誇りである在日同胞の皆さんのご健勝をお祈りいたします。
(2007.1.17 民団新聞)