掲載日 : [2007-01-31] 照会数 : 7947
<民論団論>新生民団の下で結束を 金正吉
金正吉(民団宮城県本部議長、中央規約委員)
補助金使途問題 無用な憶測慎もう
補助金の使途に関し、組織的不正や私的流用が有ったとかないとか、次から次へとよくぞここまで「場当たり」的な注釈が巷に氾濫するものだ。心底驚く。憶測が憶測を生み、まことしやかな風評となって民団社会を翻弄している。
こうした不正確に満ちた情報の発信は、「新生民団」に心からエールを送り、「今度こそは」と見守ってきた多くの良識的な団員の不興を買うのみだ。ましてやこれが「何か」を策しての意図的な情報の発信だとするならば言語道断。民団を「何処」へ向かわせようとするのか。
「誹謗・中傷・暴露」が垂れ流しされ、とどまるところを知らない最近の風潮。残念なことにこのような猜疑心と杓子定規な態度が組織の進化を妨げ、形があっても心がない今日の民団組織を形成してきたことは否めない。
目的を共有するための60年間、歴史のうねりを乗り越えて来た民団。かっての民団は人や価値観が渾然一体となった「ごった煮」の良さがあったという。だが、最近の民団は「ごった煮」の良さが薄れている。かっての絆と誇りは今や深傷を負い「ボロボロ」寸前だ。これは事あるごとに団員が2元論で色分けされ、相克することと無縁ではない。かといって付和雷同で良しとするものではないが。
民団変動期の昨今なればこそ、我々は先入観と推論に基づく謎解きの悪循環と節操の無い争いに終止符を打ち、組織が積極的な進展を得られるよう結束しなければならない。「中央」には周囲の声に惑わされることなく、現在の逆境を超えて将来の展望を描ける状況の実現に向け、一丸となって確信に満ちた姿勢で向かうことを強く期待する。
また、場外にいる者の団員の目からすれば、理解しがたい不透明な民団はもう「ご免」こうむりたい。風通しの良い民団に向け、鄭進体制は不健全さをはらまず、本音に従って進むことを願う。
団員の熱い思いを1本の太い糸にできるかどうかは、鄭進体制の気骨にかかっている。同時に団員の真摯なる掛け値なしの姿勢も今や問われている。秩序の隘路を切り開くのは、我々自身の心のありようで決まることではないか。
諸々と錯綜が膨らむなか濃密に4カ月をひたすら歩き続けた鄭進団長。肉体的・精神的な苦労には補ってなお余りある。今後も多様な憶測は絶えないだろう。軋み合うことなく、過剰な配慮をすることなく、一度冷めた団員の関心を呼び起こせるだけの起死回生の一打を打ち出せるよう初志を貫き、次につなげることを期待する。明日を見据えて向かう「団長」がいるからこそ「我々団員」も頑張りたいと思う。
(2007.1.31 民団新聞)