掲載日 : [2007-02-07] 照会数 : 7116
「一括支給の継続を」地方団長・傘下団体長会議
[ 120余人が出席した緊急団長会議=中央会館で ]
補助金分轄問題
民団に対する在外国民補助金の地方本部への支給方法に議題をしぼった緊急全国地方団長・中央傘下団体長会議が2日、中央会館で開かれた。会議では、同補助金の扱いについて、中央本部による一括支給の継続が民団全体の意志であることを全会一致で確認し、韓国政府が決定した管轄公館を通じた公館別一部直接支給は受け入れられないとする立場を鮮明にした。中央本部は公館による直接支給の見なおしを求め、陳情団を本国に送るなどの具体的措置を取ることにした。
組織体系を揺るがす 全会一致で緊急決議
公館別一部直接支給は、各地の総領事館が民団地方本部に使用計画書を提出させ、それをもとに公館が補助金を支給するというもの。これが実行されれば、07年は補助金のうち、80%を中央本部が支給し、20%を公館が支給することになる。77年以来約30年間続いた補助金の支給方法が根底から改定されるだけでなく、中央本部と地方本部間の組織体系すら揺るがしかねない事態も憂慮されてきた。
緊急団長会議に出席した全国の団長、事務局長、傘下団体長ら120余人を前に、鄭進団長は「昨年8月末に実施された指導監査の結果、補助金使用用途などについて厳しい指摘を受けた。その後、9月21日に発足した現執行部は、この指摘を深刻に受けとめ、2月に開かれる中央委員会での議論を経て、総合的な改善計画を政府に提出する旨、11月27日付団長談話ですでに明確にしている」と述べた。その上で、「民団との事前協議がまったくなされないまま、政府が一方的に公館による補助金一部支給を決定し、これを実施しようとすることに義憤を感じる。これまで通り、中央本部の一括受領、地方本部への一括支給を継続求めていく」と断固とした立場を鮮明にした。
これに対して、駐日大使館の金英善公使は「公館を通じた直接支給が今後望ましい」との立場を表明するにとどまった。続いて、張聰明常任顧問が「(70年代の組織混乱克服後、総和民団の出帆と中央本部の指揮体系回復を受け)77年3月の青瓦台訪問の際、大統領が韓信協への金融支援とともに民団に対する支援金を快諾した。専従者の人件費補助として年間10億円の支援が始まった」と経緯を述べ、「このたびの政府方針は、60年の伝統と運動実績を誇る民団自体を軽視するものだ。断じて容認できない。地方組織が中央ではなく、管轄公館の意向に左右される憂慮がある」と批判した。
経過報告に立った河政男事務総長も、民団活動を担保する補助金が公館別一部支給になった場合の懸念として、「中央委員会で決めた方針のもと、全国の本部、支部が一丸となって事業を推進してきた。生活者団体の民団の方針と領事館の意向が異なった場合、民団組織の運営上、統一性が阻害され、事業推進においても一元的な実践に大きな支障が出る」と指摘した。さらに、「現執行部は会計処理の透明性を高め、財政自立への努力を重ねている。その努力の結果が出る前に、公館別支給が実施されると組織混乱を引き起こす」と警鐘を鳴らした。
意見交換では、新潟総領事館が管内の民団に対して、民団以外の団体への補助金支給を示唆する公文を送付している事実も明らかにされた。民団への補助金が朝鮮総連や韓統連に流れる危惧に対して、会議では絶対に容認しないことを決議した。
今後の対処として、地方本部に対する補助金の配分率については、過疎地方には高い引き上げ、大手地方には低い水準の引き上げ率で調整する方向で14日の第5回中央執行委員会で検討すると発表した。また、管轄公館から各地方本部に送られている補助金使用計画書提出については、公館別支給策が解決するまで保留にすることを満場一致で決めた。
■□
これまでの経過
公館別一部支給の情報が伝えられていた昨年12月19日、第2回中央執行委員会は「中央本部を通じた一括支給の継続要求」を決議した。年明けの1月5日、駐日大使館による口頭の「支給方針」を受け、10日に開いた第3回中央執行委員会では、第2回会議の決議を再確認した。
その後、大使館から12日付公文で「政府補助金支援方針及び使用方針通知」が伝達された。主な内容は①07年は補助金のうち20%、08年は30%を管轄公館を通じて地方本部に直接支給②中央本部と地方本部の使用比率は、07年が40対40、08年が30対40−−というものだった。
組織弱体化の危惧も
公館別支給は「組織力量の弱体化を招く」と事態を重く見た中央本部は16日、「補助金方針」の再検討を求める要望書を大使館を通じて国務総理と外交通商部長官に提出するとともに、24日には陳情団派遣に対する協力要請書を駐日大使あてに伝達した。また、これらの活動以外にも、水面下で本国の国会議員や行政に向けた働きかけも精力的に続けてきた。
団長会議前日の1日、大使館は中央本部が要望した「補助金方針再検討」と陳情団派遣について、「すでに国務総理が決定した事項につき、望ましくないと判断した」との回答を伝えた。同日開かれた第4回中央執行委員会では、あくまでも従来通りの一括支給を決議、団長会議に臨んだ。
(2007.2.7 民団新聞)