掲載日 : [2007-02-28] 照会数 : 8034
金敬得さんと別れ難き別れ 有志が1周忌の集い
在日外国人の司法修習生採用へ道を切り開き、弁護士登録後は在日同胞の人権擁護と多文化・多民族共生社会づくりに尽くした故金敬得さんをしのぶ1周忌の集いが24日、東京・千代田区の在日韓国YMCA地下ホールで行われた。
金さんの友人・知己らでつくる世話人会(共同代表・裴重度、田中宏)が昨年の「しのぶ会」に続いて企画した。200人余りが遺影に献花し、別れ難き別れを告げた。また、故人と親交の深かった関係者10人が次々に登壇し、参加者と生前の思い出を共有した。
91年問題など在日同胞の人権問題で親交の深かったソウル大学校法科大学院教授の鄭印燮さんは、「公益と人権のために人生を捧げ、韓国社会にもたくさんの教訓を与えてくれた。(韓国でも)今年中に金弁護士を追悼する集いを持ちたい」と明らかにした。
また、今村嗣夫弁護士は、金さんが故新美隆弁護士と取り組んできた指紋押捺拒否闘争、在日韓国人の傷痍軍属戦後補償訴訟や定住外国人の地方参政権獲得のための立法運動を「権利のための闘争」と位置づけ、「2人の人権闘争を受け継いでいく」と誓った。
最後に遺族で夫人の孫永蘭さんが「子どもたちと一緒に力を合わせて生きていく」とお礼の言葉を述べた。
また、敬得さんの兄、敬和さんは「多くの人の話を聞き、彼も悔いのない人生だったのかもしれないと思うようになった」と語った。
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思い出共有へ 『追悼集』が完成
金敬得さんと親交の深かった多くの人たちから寄せられた「思い出」を中心に収録した『弁護士・金敬得追悼集』(371㌻、同編集委員会)が完成し、1周忌の集いで参加者に配られた。
「思い出」は遺族を含め75人から寄せられた。金弁護士の人権闘争を間近で見てきた活動家たち7人による「評伝」と2編の遺稿も収め、金さんの等身大の姿をよみがえらせた。巻末には金さんが関わった主要裁判の弁論記録と年譜つき。
2000円(税別)。問い合わせ℡03・5689・4070(新幹社)。
(2007.2.28 民団新聞)