掲載日 : [2007-05-16] 照会数 : 8973
在日の郷土奨学会 宝城に根張り5年
総支給額2億4千万ウォン突破
今年度は過去最高250人
在日同胞1世の郷土愛の結晶ともいうべき「宝城秋信奨学会」(金玉男会長)が今年で設立から5年目を迎えた。
4月14日には宝城郡全域から選ばれた小・中・高校生合わせて250人に8485万ウォンに達する奨学金を手渡した。これは支給対象、金額ともこの5年間で最高だった。これで総支給額は累計で2億4945万ウォンに達した。
同奨学会は福島県内で鍍金業を営む民団東京・葛飾支部顧問の金さん(93)が02年、私財2億ウォンを投じて故郷の全羅南道宝城郡に設立した。奨学会の名称に冠した「秋信」は金さんの子女の名前から一文字ずつとった。
これは、金会長に万が一のことがあっても、代を継いで奨学会を維持していってほしいとの願いが託されている。
第1回支給は03年。郡内の中・高校生60人に合わせて2500万ウォンを支給した。1人当たりの平均支給額は日本円にして4万円前後とささやかなスタートだった。
しかし、2年目は地域からの要望に応えて新たに小学生も加え、100人とした。その後も支給対象は拡大を続け、3年目に146人、4年目は175人に達した。5年目の今年は金さんが当初から上限と決めていた200人を大きくオーバーした。
ウォン高のいま、金さんが毎年、必要としている資金は諸経費を含めると1億ウォン近くにのぼるという。金さんはこの5年間というもの日々の生活費を最小限に抑え、資金を捻出してきた。願いは金さんの思いに共鳴する同郷人が1人でも出てくることだが、現在のところかなえられていない。
金さんと郷土とのつながりは50年前、同郷の士に呼びかけて宝城宗親会を組織したことから始まった。会として郷里の電気施設を整備し、81年に郷里を襲った台風被害には義援金を送るなどしてきた。会員の高齢化で宗親会そのものはすでに解散しているが、奨学会だけは今後30年、40年と続けていきたいという。
(2007.5.16 民団新聞)