掲載日 : [2007-05-16] 照会数 : 7014
フラッシュ同胞企業人(4) 「常に新しさを」の執念
[ 1944年東京生まれ。東海大工学部卒。86年に現在の「スリーディ」(本社・東京)設立。趣味は絵画。1男2女。本籍は慶尚南道の高霊。 ]
シミュレーションゴルフを開発
(株)スリーディ 朴容徳社長
超リアルな画像
ビルの1室にいながら実際のゴルフ場でプレーしているような、超リアルな臨場感が楽しめる−−。
話題のシミュレーションゴルフを開発してから20年余。1年前に出したバージョン5は、ショットしたボールが画面にぶつかりながらそのまま画面の中に進んでいく。初めてカメラを導入した結果、ボールの動きとともにリアルにコースを再現した。
「バンカーに入ったときは、バンカーのつもりで打たないといけない。画面を自分でコントロールしながら距離を測ることができる。打球が秒速何㍍か表示が出るし、フックやスライスも正確に見られる。ボールのところまではゴルフ場と同じように、歩行器を使って歩けば運動不足解消にもなる」。
現時点では最高の装置であるが、「人間の欲望には限りがない。商品開発は、エンドレスの競争だ。コンピューターの発展とともにこの機械も進化していくので、まもなくバージョン6の時代になるだろう」と予測する。
シミュレーションゴルフの営業店は北海道から九州まで20カ所近い。韓国の仁川にも年内にオープンする予定だ。06年度売上は約2億8000万円、社員はパートを含め15人。
エコロジー商品
小さいときからものづくりが好きで、工作の成績はいつも「5」。粘土で作った象が全国児童コンクールで1等になったこともあった。担任の教師が家に来て、「ぜひ東京芸大に進学させて」と親に頼んだ。しかしオモニは「乞食になるから勧めないで」と断った。
工学部を出てからゲーム機と取り組んだ。「30年前、日本でテレビゲームを最初に作った。これがあったから日本が電子立国になれた」と自負する。一時期、年商数十億円と稼いだが、始めたのが早すぎて急速にしぼんだ。子供用のだましゲームは止めて、大人用のゴルフゲームに転換した。バブルのときはジャンボ尾崎と組んで1500台ほど販売したことも。
モットーはエコロジー。環境が悪化すれば子孫は生存できないと憂慮する。「未来を予知できるスーパーコンピューターによると、このまま環境の破壊が進めば、人類は滅亡する。ゴルフ場を造り続ければ、広大な土地の砂漠化が進む一方だ。室内で楽しむこのシミュレーションゴルフこそ、まさしくエコロジー商品だ」と強調する。
社名の「スリーディ」(3D)は3次元の意味。いまでこそ3次元の呼称は一般的だが、20数年前は珍しかった。会社設立とともに3次元の特許をとったが、預かり料を払わなかったため無効だと言われた。「大もうけし損ねたよ」。
3年前から「鍵穴のない鍵」を売り出した。鍵を紛失しても鍵を取り替える必要はなく、鍵の番号を変えるだけで済む。「ものづくりには夢がないといけない。常に新しいものを考えている。何が儲かるかというよりもむしろ、何をやればユーザーと長い付き合いができるかだね」。
(2007.5.16 民団新聞)