掲載日 : [2007-05-30] 照会数 : 9623
韓国「家族登録法」 来年から戸主制廃止
戸籍に代わり個人を重視
在日同胞にも影響大きく
韓国国会は、これまでの戸籍法に代わる「国籍及び家族関係の登録に関する法律案」(家族関係登録法)を4月27日通過させた。大法院(最高裁判所)が規則・細則などを制定した後、来年1月1日から施行される。
韓国では08年から、男女平等の立場から民法上の戸主制が廃止される。それにともない、戸主を基準に家単位で国民の国籍及び家族関係変動事項を記録・公示した戸籍制度がなくなる。これに代わるものが「国籍及び家族関係登録」制度である。
この新法は、国民個人別に国籍変動事項及び出生、婚姻、死亡等の身分変動事項を電算情報処理システムによって記録・管理し、その登録情報を使用目的による証明書形態で交付するもので、国籍事務との連携を通じて国籍簿としての役割を強化するなど、国民の便宜及び業務効率の増大に寄与するのが狙い。
交付証明書は、①基本証明書②婚姻証明書③入養証明書④親養子入養証明書⑤家族証明書の5種類。基本証明書は本人のみの登録準拠地や姓名、出生年月日などが記載される。
登録準拠地とは、戸籍制度下での本籍とは異なり、在外国民の身分登録事務処理上の基準となるもので、個人別に編成されるため家族がそれぞれ違うケースもある。ただし、住民登録番号のない在日同胞の場合、現行戸籍上の本籍が登録準拠地になる可能性が高い。変更はいつでも自由だ。
交付を申請できるのは、本人または配偶者、直系血族、兄弟姉妹などである。代理人が申請する場合は、本人などの委任を受けなければならない。
民団中央本部民生局が昨年、法務部長官宛に「家族関係登録法」に関する要望書を提出したのに対して、法務部は、現在施行されている「在外国民就籍・戸籍訂正及び戸籍整理に関する特例法」の立法趣旨が新法にも反映されると回答した。
今回の新法について司法書士の趙慶済氏(立命館大学講師)は「本籍という概念がなくなり、各個人の登録になる。住民登録番号のない在日同胞の場合、当面は本籍が登録準拠地になるだろう。申請手続きがスピード化され、個人保護は強化されるだろうが、他の家族との関係、例えば相続の場合は証明書が多くなることが予想される」と指摘した。
駐日大使館領事部では「現在、詳細は不明なので、新法の細則などが制定されしだい広報に努めたい」と語っている。
(2007.5.30 民団新聞)