在日の底力発掘し、総合5連覇に挑む
新種目に卓球・女子ゴルフ・スカッシュ
この感動を今年も
第86回慶南大会(金昭夫引率団長)の開会式で入場行進する在日同胞選手団
在日本大韓体育会(朴安淳会長)は、10月に光州広域市で開催される第88回全国体育大会(韓国国体)に、250人規模の在日同胞選手団を派遣する。海外同胞部門での5連覇がかかる今回、体育会では一層の選手発掘を目指している。
国家代表の夢 実現も
国体参加で可能性広げよう
韓国国体は各市・道の厳しい予選を勝ち抜いた韓国内の地域代表選手と、15カ国の海外同胞選手、スタッフなど3万人以上が参加する韓国最大・最高レベルのスポーツイベントである。
国家代表選手も含めた最高レベルの選手たちと海外同胞選手が互いに技量を競い、交流を深められるこの韓国国体は、在日同胞スポーツ選手にとって、韓国人としての民族意識高揚の場であるとともに、韓国の国家代表選手に選抜される大きなチャンスの場でもある。
今年の国体は、10月8日から14日まで、光州広域市で開催され、開会式は光州ワールドカップ競技場で行われる。在日同胞選手団の参加種目は、15カ国の海外同胞が対戦する海外同胞種目として、テニス、ボウリング、ゴルフ、サッカーのほかに、今年度より女子ゴルフ、卓球、スカッシュが新設された。
参加資格は18歳以上で、韓国国外で3年以上の長期滞在、あるいは永住権を取得した者。韓国籍だけでなく、日本籍同胞でも韓民族の血統を継ぐ場合は出場できる。国内競技種目は水泳、射撃、陸上など、計15種目にわたる。
女性が初の引率団長に
今回の引率団長には、54年の歴史を誇る選手団派遣史上、初の女性引率団長となる金順英氏が選ばれた。金順英引率団長は体育会の副会長を務めるほか、民団東大阪南支部の支団長を担っている。
自身もかつては女子バスケットボールの選手として国体にも参加し、韓国代表にまで上り詰めたスポーツウーマンだ。
昨年の第87回慶北国体に参加した在日同胞選手団(南照男団長)は、サッカー、ゴルフ、ボウリングで金メダルを獲得。海外同胞の部で総合優勝を果たし、総合4連覇の快挙を成し遂げた。だが、今年度はほかの海外同胞にも優勝のチャンスを与えようと、在豪州・在米・在中国同胞勢の活躍が見込まれる女子ゴルフ、卓球、スカッシュが新種目として採用された。
そのため、体育会では今年は例年以上に、広く優秀な選手を募集し、前人未到の海外同胞の部、総合5連覇を目指している。
日本のアマチュアスポーツ界で競技活動を行っている優秀な同胞選手は数多い。だが、本国の国体に参加できることを知らない選手が多いのも現実だ。また、有望な選手の場合、日本代表になるために帰化を要請される場合も少なくない。
在日同胞選手育成に力注ぐ
韓国のスポーツ界は強化種目を増やしており、国体に参加することを通じて、実力次第で韓国国家代表への道も開かれている。
体育会では、日本の高校・大学や実業団をはじめ各種クラブチーム等で活躍している在日同胞スポーツ選手の発掘・育成に力を注いでいる。
様々な種目の在日スポーツマンが参加する国体は、絶好の民族教育の場でもある
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ボウリング全国大会開催へ 来月29日
上位入賞者に国体出場権
在日本大韓体育会は7月29日、大阪の新三国アルゴボウルで「第3回全国ボウリング大会」を開催する。
これまで第1回(02年・名古屋)、第2回(03年・東京)と全国大会を開催しており、今回が3回目となる。
体育会ではさまざまなスポーツ大会を開催しているが、天候に左右されず、大掛かりな準備をする必要もないボウリングは各地で人気を集めている。
気軽に在日同志がスポーツを通じて友情と親睦を深められ、何よりも、全国各地で年配の方からオリニまで、幅広い年齢層の在日同胞が楽しめるのが人気の秘密だ。
今年度は関東、関西、中北、九州の各地で予選が行われ、各予選会を勝ち上がった男女上位3人が大阪で行われる決勝大会に参加できる。
上位入賞者は、10月8日から光州広域市で開催される第88回全国体育大会(韓国国体)への出場権が与えられる。
特に中北地区のボウリング熱は盛んで、支部単位での競技会も行われ、各支部の優勝者は支部対抗の県大会に出場する。そこで好成績を収め、韓国国体に出場することを目標に掲げて練習に励む同胞もいる。
交流の中から新たな力生む
ボウリングは、同胞と同胞との間をつなぎ、若い世代や子どもたちが民団や在日に対する認識を新たにし、老若男女、各世代の同胞が交流するなかから新しいエネルギーを生みだす格好のスポーツだ。体育会では、この波及効果を最大限引き出すように努力し、各地域で行われる大会への積極的な参加を呼びかけている。
在日同胞にも人気が高いボウリング。家族や友人と楽しめる格好のスポーツだ=東京のボウリング場で
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民団も発展に尽力 韓国国体
国際大会に幾多の代表
1953年5月5日、東京YMCAの講堂で創立された在日本大韓体育会(会長=柳泰夏・駐日代表部参事官のち大使)は、祖国のスポーツ界発展と在日同胞青少年の健全育成のため、駐日大韓民国代表部、民団とも連帯して、募金活動を積極的に展開した。
そして、動乱の傷跡も生々しい1953年10月、ソウルで開催された第34回全国体育大会に、在日同胞選手団(初代引率団長・鄭龍洙氏)を構成、サッカーを中心とした25人の選手を初出場させた。
当時、一般在日同胞の訪韓は不可能だったが、民団、駐日韓国代表部の努力で、体育会を通じた在日同胞選手団にのみ駐日代表部より旅行証明書発給が許可され、日本の法務省からも再入国が許可された。
それ以降、今日まで毎年欠かさず選手団を派遣するなかで、オリンピックやアジア大会、各種国際大会の韓国代表に、数多くの在日同胞を輩出してきた。
サッカーのプロに8人も
本会を通じて韓国国体に参加した近年の著名な選手では、プロレスの長州力(本名 郭光雄。ミュンヘン五輪出場)や、現在、総合格闘家として活躍する柔道の秋山成勲(旧名 秋成勲)、マラソンの解説でお馴染みの金哲彦(現NPO法人ニッポンランナーズ理事長)などがいる。最近ではサッカー競技での活躍を通じ、8人の選手が韓国のプロサッカーKリーグへと進出している。
才能あふれる在日サッカー選手の存在は本国サッカー関係者の間でも注目を集めている
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在日本大韓体育会会長 朴安淳
1953年の第34回大会より始まった選手団の派遣を通じて、在日同胞は祖国のスポーツ界に用具や技術を伝達するなど、多大なる貢献を果たしてきました。
こうした歴史を継承し、1人でも多くの選手を発掘・育成し、祖国の国体という大舞台でプレーさせることが、私たち体育会の使命であると考えております。
自分の技量を祖国で発揮できる貴重な経験は今後の競技生活に、そして在日として生きる人生において大きな財産となる事でしょう。皆様の応募を心よりお待ちしております。
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第88回全国体育大会引率団長 金順英
光州広域市で開催される第88回韓国国体に、在日同胞社会を代表して女性初の引率団長という大任を授かり、誠に光栄です。
選手団の活躍を、民団を中心とした全国の在日同胞が物心両面より応援して下さっていることを忘れず、引率団長として選手が日頃鍛錬した技量を十分発揮し、ベストコンディションで競技に挑めるよう、全力を尽くします。
また、好成績を残すことはもちろんのこと、国体参加を通じて3・4世に、韓国人としてのプライドと喜びを与えることが私の責務だと考えております。
(2007.6.27 民団新聞)