掲載日 : [2007-07-04] 照会数 : 8405
各地民団、無年金同胞の早期救済へ尽力
[ 村井嘉浩宮城県知事(左端)に要望書を手渡す李根民団宮城本部団長(中央) ]
無年金同胞高齢者・障害者の早期救済へ尽力
各地民団が特別措置実施・増額など自治体に要望強める
現在81歳以上の在日同胞高齢者、45歳以上の在日同胞障害者は、本人の意思と関係なく国民年金制度から排除され、1982年の「国籍要件」撤廃後も救済措置が講じられず、無年金のまま今日に至っている。そのため苦しい生活を強いられ、介護保険料・サービス料の自己負担もままならない人が少なくない。
民団では、国民年金関係法の改正を強く求めるとともに、暫定的救済措置がもっと多くの自治体で講じるよう、またすでに救済措置を講じている自治体に対しては、少しでも公的年金相当額に近づけるよう、特別給付金の増額等の要望活動を各地方本部や支部単位でさらに粘り強く展開する構えだ。
「国籍要件」の撤廃に伴い公的年金制度に加入が義務付けられた在日は、保険料によって日本人高齢者を支えながら無年金状態の親も養うという二重の負担を強いられている。在日無年金障害者の場合には、生活を支える高齢の家族もまた多くが無年金状態にある。
民団は、長年にわたって定住外国人無年金者の救済を訴えてきた。その結果、在日多住地を中心に、現在600以上の地方自治体が、独自の福祉手当として「高齢者特別給付金」や「障害者特別給付金」などを支給するようになった。
また、全国知事会、全国市長会なども、早期救済のための国民年金法の改正等を、政府に対して要望している。だが、自己の責任によらず無年金とされた在日高齢者・障害者に対して政府次元での救済のための法的措置は、いまだに講じられていない。
05年4月から施行されている「特別障害給付金支給法」も、救済対象から「定住外国人無年金障害者」を排除している。「定住外国人無年金障害者」については、同法の「附則」で、「今後検討が加えられ、必要があると認められる時は、その結果に基づいて所用の措置が講ぜられるものとする」と明記している。
国会は04年12月、同法採択に際し「附帯決議」で、「無年金障害者の生活を支える家族の高齢化等の実情」を踏まえ、定住外国人無年金障害者等に対する救済措置について「早急に検討を開始する」ことと、「国民年金に加入できなかった在日外国人等の無年金高齢者の社会保障制度における位置付けについても所用の検討を行う」ことを、政府に求めている。だが、救済措置は、まだ検討すらなされていない。
昨年度から施行されている障害者自立支援法では、介護サービス利用者の原則1割負担などを柱としているが、無年金障害者のための減免措置はない。自立が困難な人ほど、負担額がかさみ、ますますサービスを利用しにくい状況にある。
無年金定住外国人の介護保険料の負担や基礎年金との格差を是正するため、特別給付金増額に踏みきった自治体もある。
しかし、「国民年金法」が抜本的に改正され、無年金の定住外国人が法制定時にさかのぼって年金受給ができるようになるまでの救済的措置で、給付額も全国一律ではなく、まちまちである。
最も高いのは兵庫県内の自治体で、各市とも高齢者給付金が月3万円超、障害者給付金が7万円超となっている(県による上乗せ支給分含む)。だが、全国的には高齢者1万円前後、障害者2万円前後が多く、高齢者・障害者とも1万円以下の自治体もある。東京23区の場合、特別給付金制度を設けているのは豊島、葛飾、北、江戸川の4区にすぎず、その他の区では、いまだに救済措置を講じていない。
民団では、このような状況を踏まえ、各地自治体に対して、自己の責任によらず無年金とされ、長年にわたり苦しい生活を強いられている無年金定住外国人高齢者および障害者への救済措置を早急に講じるよう、国および国会に働きかけてもらうとともに、暫定措置として自治体独自の特別給付金制度の採択・実施を繰り返し要望している。
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救済へ実態調査約束 宮城知事
【宮城】民団宮城本部では5月29日から6月27日までの約1カ月間に、県内の全自治体(36市長村)に対して要望活動を展開した。
最終日の27日には、県町村会長、県市長会長、県知事にも要望した。李根団長から要望書を受け取った村井嘉浩知事は、県内の定住外国人無年金高齢者・障害者の救済に向けて実態調査を行うことを約束した。
(2007.7.4 民団新聞)