コラム・特集 内容

 烏の鳴かない日はあっても、北韓(北朝鮮)バッシングのない日はない。そんな感じにとらわれる日本マスコミの報道ぶりである。叩く材料は日本人拉致、核の再開発、ミサイル、スパイ船など、挙げればきりがない。

 情けないやら腹立たしいやら、在日同胞は身をすくめながら嵐が去っていくのを待っている。一体、いつまで私たちは祖国の問題で頭を抱え込まなくてはならないのだろうか。と同時に、「右へ習え」とばかりに、一方向に向かう時のこの国の体質には、おぞましさすら覚える。

 「他にうらやむものなどない」と強弁する「誇り高い国」は、埃にまみれ、もはや国家の体をなさないくらい地に堕ちている。

 とはいえ、北の惨状は為政者とその取り巻きが引き起こした人災であって、一般庶民もあの体制の犠牲者であることを忘れてはならない。飢餓から逃れるために国を捨てさる人々は、私たちにとっては同胞、日本人にとっては隣人のはずである。

 それを横目に見ながら、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という劣悪な感情に乗せられていいのか。エスカレートする感情をいかに止揚するかが、あるべき大人の対応ではないのかと言いたい。

 今からでも遅くない。北韓は世界平和を脅かす核開発を放棄し、国名に掲げたように「民主主義人民共和国」への移行を急ぐべきだ。それが、生き残りへの道でもある。(C)

(2003.02.19)

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