掲載日 : [2007-10-11] 照会数 : 6601
<南北首脳会談>経済協力事業、大幅拡大へ
[ 「南北関係発展・平和繁栄宣言」に署名する盧武鉉大統領(左)と金正日国防委員長 ]
「関係発展・平和繁栄宣言」を発表
平和体制構築を推進
来月ソウルで南北総理会談
盧武鉉大統領は4日、平壌の百花園招待所で北韓の金正日国防委員長と07年南北首脳会談の合意事項として韓国戦争(1950〜53年)の終戦宣言推進などを盛り込んだ「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」(2007南北首脳宣言)に署名、発表した。両首脳は、宣言で韓半島の緊張緩和・平和保障を目指すとともに大規模な経済協力を推進することを明らかにした。盧大統領は同日、2泊3日の訪問日程を終え、往路と同じく陸路でソウルに戻った。
6者会談合意 履行へ共同努力
両首脳は8項目からなる宣言で、韓半島における軍事的緊張を緩和し、平和を保障するための措置の一つとして、西海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)地域での偶発的衝突防止のための「平和水域」化方案や南北協力事業への軍事的信頼構築措置を協議するために、11月中に平壌で南北国防長官会談を開くことで合意したことを明らかにした。
現在の休戦体制を終わらせて恒久的な平和体制を構築するために、「直接関連する3者または4者の首脳が韓半島半島地域で会談」し、「終戦」を宣言する問題を推進するために協力していくことでも合意した。
また両首脳は、随時会って懸案問題を協議することで合意し、今回の首脳宣言の詳細をつめるために、11月中にソウルで南北総理会談を開くことにした。
民族経済の発展と共同繁栄に向けた経済協力事業を拡大・発展させるために、北韓の海州地域と周辺海域を包括する「西海平和協力特別地帯」を設け、共同漁労区域と平和水域の設定、経済特区の建設、民間船舶による海州直航路の開設と漢江河口の共同利用などを推進する。
さらに、開城工業団地2段階開発の着手、開城−新義州鉄道と開城−平壌高速道路の共同利用のための改・補修、白頭山観光のためのソウル−白頭山直航路の開設を早期に協議することにした。
今年5月に試験運行が実現したソウルと平壌を結ぶ京義線について、開城工業団地用の貨物に限定したうえで、汶山(韓国・京畿道)‐鳳東(北韓・開城郊外)間の南北連結運行を進める。08年北京五輪の際、南北の応援団が京義線を利用することでも合意した。
双方は、経済協力事業の円滑な推進のため、現在の「南北経済協力推進委員会」(次官級)を副総理級の「南北経済協力共同委員会」に格上げする。
最も注目されていた北韓の核廃棄問題については、「韓半島の核問題を解決するために、6者会談で合意した05年9月の共同声明と07年2月の合意が順調に履行されるよう共同で努力する」という表現にとどまった。
また人道的分野では、離散家族の再会を拡大し、ビデオレター交換事業を推進する。このため金剛山面会所が完工し次第、双方の代表を常駐させ、常時再会を推進するとした。だが、韓国戦争中に北韓軍の捕虜となった元韓国軍兵士の帰還や韓国人漁民らの拉致問題について、宣言は全く言及していない。
南北宣言骨子
●6・15共同宣言を順守し積極的に実現させ、記念日化講じる
●内部問題には不干渉、統一を志向し各自の法的・制度的整備
●不可侵義務を順守し軍事的信頼構築へ11月に国防相会談開催
●平和体制構築へ関係3者または4者首脳による終戦宣言推進
●共同繁栄へ「西海平和協力特別地帯」設置など経済協力拡大
●社会・文化交流推進、観光のため白頭山‐ソウル直航路開設
●離散家族再会拡大、金剛山面会所完工に合わせて常時対面へ
●国際舞台で民族の利益と海外同胞の権利・利益のために協力
●「宣言」履行のために南北総理会談を開催、第1回は11月に
●南北関係発展のため首脳らが随時対面して懸案の問題を協議
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非核計画、年内に報告
<北韓>2週間内に無能力化着手
6者会談の合意文書発表
北韓の核問題をめぐる6者会談の議長国・中国の武大偉外務次官は3日、非核化に向けた「次の段階」(第2段階)の措置の具体的な内容を定めた合意文書を発表した。
合意文書には、寧辺の核施設の無能力化と核計画の申告を「12月31日までに」行うとの履行期限が明記され、2週間以内に北韓での無能力化の作業を開始するとされている。申告対象となる核計画では、すでに核兵器や抽出済みプルトニウム、ウラン濃縮への言及はなく、「すべての核計画の完全かつ正確な申告」という表現にとどまった。
年内の無能力化の対象は寧辺にある黒鉛減速炉、核燃料再処理施設である「放射化学研究所」、核燃料加工施設の3カ所。具体的な方法については「6カ国すべてが受け入れ可能であり、科学的、安全、検証可能かつ国際基準に合う原則に沿って」とあるだけで詳細は示さなかった。
合意文書は、核不拡散については、北韓側が核物質や関連技術、ノウハウなどを第3国に移転させないとの約束を再確認した。
一方、これらの見返りとして北韓が米国に求めてきたテロ支援国指定の解除作業の開始や、対敵国通商法の適用終了については時期を具体的に示さないまま「北韓がとる行動と並行して履行する」方針が盛り込まれた。
6カ国閣僚(外相)会議については、「適切な時期にを北京で開く」ことを決め、同会議開催前に6者会談首席代表会合を開くとしている。
(2007.10.10 民団新聞)