掲載日 : [2007-11-28] 照会数 : 8398
第4回MINDAN FESTIVAL 監督との対談好評
[ 上映後のトークショーで自作を語る井筒監督(右) ]
在日の昨日、今日、明日 日本映画で考える
「語り継ごう『在日』を! 第4回MINDAN FESTIVAL」が25日まで3日間、韓国中央会館で開かれた。今年は映画祭のみの開催となったが、3日間で延べ400人の同胞や日本人市民らが鑑賞に訪れ、「日本映画に描かれた在日」に見入った。参加者からは継続開催を望む声が多く聞かれた。
今年の映画祭は1日に2本ずつテーマを決めて上映した。
初日の23日は「〞終戦〟後に描かれた在日デー」と題して、『にあんちゃん』(今村昌平監督、59年)と『あれが港の灯だ』(今井正監督、61年)を上映した。映画評論家の門間貴志・明治学院大准教授は「『にあんちゃん』は、貧しくても精一杯生きる戦後の在日の姿を象徴的に描いた作品の一つだが、日韓併合は正しい政策だったとした当時の時代を反映している」と評した。
24日は「やくざ映画に描かれた在日デー」。『やくざの墓場〜くちなしの花』〜(深作欣二監督、76年)と『新・仁義なき戦い』(阪本順治監督、00年)の2本立て。映画『在日』の呉徳洙監督との対談で阪本監督は、「在日を主役級にしたのは、自分自身が大阪育ちで、在日の友人もいたので映画に出したいとのこだわりがあった。いじめや差別といった社会派的なものではなく、近所にいた友人をごく普通に描きたかった。現代の若者は在日というより、個人として見る者が多いのではないか」と語った。
3日目の25日は「井筒和幸の描く在日デー」で、今年5月に公開された『パッチギ!ラブ&ピース』の原点とも言える81年の『ガキ帝国』と04年の『パッチギ!』を上映した。
上映後、在日韓国青年会中央本部の康孔鮮会長との対談で井筒監督は、70年代後半に『ガキ帝国』の自作シナリオを映画会社に持ち込んだものの、プロデューサーに「朝鮮(語)が登場するモノは映画にできない」と一蹴された体験談を紹介した。日本で一緒に生活する在日の存在を無視し、韓・日の特殊な歴史を知ろうともしない連中に見せつけてやりたいとの思いが、映画づくりに向かわせたという。
また、「30年間で4回暴力を扱ったが、暴力では何も解決しないということを描いている。夢も希望も失っている日本の若い世代に、学校や社会などそれぞれの現場で知を力にする知力をもってほしいとの願いを込めた」と述べた。
3日間を通じて、参加者からは「映画祭を通じて国際交流・理解が図られたら幸い」(60歳男性)、「『パッチギ』が在日の存在を意識するようになった契機。若い世代が自分の頭で在日について考えるようになれば、互いの関係が一歩進むように思う」(27歳女性)との声のほか、「初めて企画を知った。もっとPRするために図書館などにポスターを貼ればいかが」(47歳女性)という提案もあった。
(2007.11.28 民団新聞)