掲載日 : [2008-01-30] 照会数 : 5383
<布帳馬車>違う世界で見ていてね
「オモニ、お誕生日おめでとう〜体に気をつけて、仕事がんばってや〜」。今年、高校3年になる息子からの、6通目の手紙だ。普段から子供とはよく会話をするほうで、彼も私に何でも話してくれる。もちろん、ガールフレンドのことも。でも、こういった手紙をもらうようになったのは、いつの頃からか。たぶん、夫が亡くなった年からだと思う。6年前、私の誕生日に、感謝の気持ちを記した1通目の手紙は、少しぎこちなかったが、筆不精な息子の思いが伝わってきた。毎日顔をあわせ、たわいのない会話をしているものの、「手紙」という形で気持ちを相手に伝えることは、いくつになっても照れくさいもの。まして親子ならなおさらだと思う。でも年を重ねるごとに、1通、1通と手紙も増えた。
今年で7回忌。子供の成長を糧に、ただひたすら走り続けてきた。少しゆっくりしたいな、という気持ちがわかったのか、小学6年になる下の娘が「オモニ、大丈夫?ゆっくり休んでね」と言って気遣ってくれた。娘もいつの間にか成長し、「大きくなったら、オモニにいーっぱい楽してもらうから!」と得意気にいう。将来が楽しみだ。
だんだんと主人に似てくる息子と、おちゃめな娘の、2人の宝物をばねにまだまだ頑張らないと、自分に叱咤激励した。
息子が記した俳句「お母さん、育ててくれて、ありがとう。お父さん、違う世界で、見ていてね」。彼のこの気持ちを大切にしながら、2人の成長を見守っていきたいと思う。(T)
(2008.1.30 民団新聞)