掲載日 : [2008-01-30] 照会数 : 5861
<寄稿>李明博新政府 どうなる南北関係
[ 北韓に到着した支援物資=05年5月 ]
三星経済研究所経済安保チーム長 董龍昇
北変われば積極支援
李明博政府の出発を控えて、韓半島の情勢はまるで台風の前夜のような雰囲気である。
北核問題は北韓の核施設申告レベルに関して、米国と北韓の意見の対立が表面化している。米国の国内では、対北韓圧迫を強化しなければならないという声が、あちこちから聞こえる。北韓は李明博政府に対し、まだ公式的な立場の表明は保留している。北韓はまるで新政府の公式的な対北韓政策の発表を待っているようでもある。
2007年10月の南北首脳会談の後続措置のための南北会談が、同年末まで忙しく進められたが、今年に入って会談の開催が延期されている。業務引継ぎ委員会では政府組職改編案により、統一部を外交通商部と統合するという案が提示された。対北韓政策において多くの変化があるものと予告するような、大きな出来事である。
このような渦中で新政府が出発したら、南北関係はどのように展開されるだろうかという点に関心が集まっている。まだ新政府の対北韓政策は発表されていないが、一応、今までに出された内容を収集し、新政府の対北韓政策を整理して見よう。
選挙期間中に明らかにされた基本基調は、「非核・開放・3000」である。北韓が核問題を解決して、改革と開放を始めたら、北韓の一人当たりの国民所得が3000㌦になれるように、国際社会と力を合わせて支援するというものである。
「非核・開放・3000」の方法論として、南北経済共同体を実現するという立場である。核問題の解決は、6カ国協議などの国際共助の枠組み内で解決するとともに、核問題の解決以前は、南北関係の進展速度を核問題解決と歩調を合わせるという立場に立っている。
南北首脳会談で合意に至った内容も、案件によっては、見直しすることもあり得るという立場を伺わせている。そして南北関係の範囲が広く深まったことから、統一部だけでは対応し切れないので、全ての部署で担当できるように調整する計画である。
政策的側面では外交通商部と統合して対応し、情報収集と分析は国家情報院で、経済協力は経済部署で、社会文化交流は他の専門部署で担当するようになる見込みである。
このような内容を総合して見ると、参与政府(盧武鉉政府)の対北韓政策が、交流と協力を通じて北韓の変化を誘導する点にあったのなら、李明博政府は北韓が変化を選択すれば、積極的な交流・協力をするという点に根本的な違いがある。
ここに、先核問題解決及び相互主義原則が挙論される。無条件的な交流と協力では、北韓の変化を誘導するのに限界があるという問題意識が、その背景にある。そして北韓の意志が確認されたら、より積極的な交流と協力が推進されることになるだろう。
新政府の出発以後の南北関係は、新政府の対北韓政策の変化を北韓がどのように受け入れるかによって、多少の不協和音は避けられないだろう。まず慣例上、年頭にいつも北韓に提供して来た肥料及び食糧支援から、問題が提起されるだろう。対北韓支援と韓国軍捕虜及び拉北者問題を関連付けることもあり得るという説も聞かれる。
北核問題と連動して、一時的な困難も予想されるが、北韓の立場からも冷却期間を長引かせることは出来ないというのは明白である。こういった問題を乗り越えたら、新政府は南北FTA(自由貿易協定)までも構想するほど、積極的な対北経済協力を考えている。
ただ新政府は北韓をなだめるとか、対話に未練を持たないだろうという点は明らかである。南北関係はいつの間にか甲と乙の関係が逆転してしまったが、今や正常化させなければならないという意志も、また強い。正常化及び実用主義を通じて先進化を追求するという国政運営の基本原則が、南北関係にも適用される展望である。
結局、今後の南北関係は北韓の選択に掛かっている。北韓も今や全世界的な変化の流れと、韓国社会の発展速度に合わせて、自ら変化を選択しなければならない岐路に立たされているといっても、過言ではないだろう。
(2008.1.30 民団新聞)