掲載日 : [2008-02-20] 照会数 : 6542
韓豪日グローバル家族こだわり在日記<2>
本名使用は祖先を祭ること
結婚した時から、夫の本名以外を名乗るつもりはありませんでした。その理由は大変シンプルでした。祖先からいただいた名字を捨ててまで、通名を使う必要はないという思いからです。
私はオーストラリア人の5世です。私の祖先は、イギリスの南部のコーンウォールから6週間も船に揺られる辛い旅の末、1848年にオーストラリアに住み着きました。
先祖はコーンウォールでは、鉱山労働者をしていました。貧困脱出のため、二度と母国を見ることが出来ないことを承知の上、将来の保障が何もない見知らぬ土地に旅立ったのです。
私の名字はMenadueです。名前の意味は、ケルト語では「黒い丘」だそうです。この名字は大変珍しくて、今世界では500人ほどしかいません。
父は名字に、大変プライドを感じていました。子供の時に「変な名字」とからかわれたことが度々ありました。その時父は何時も、「祖先から頂いた大事な名字は自身を持って使いなさい」と言っていました。祖先の名字を使うことは、祖先を絶えず祭ることだとも教わりました。自分のルーツを1日も忘れたことはありません。
残念ですが仕事の時、夫は通名の「松田」を使うことを求められることがあります。日本社会は韓国人に対して、未だに肩身の狭い思いをさせているのです。
日帝時代に起こった創氏改名の事実を知った時、私は大変ショックを受けました。家門をどこの国より大事にする韓民族にとっては、どんなに耐え難い屈辱だったかと思うと涙が出ます。
私としては、日本名を名乗ることはその屈辱を存続させるのと同じことではないかと思います。夫は韓国で5年間も生活した経験がありましたので、子供と一緒に本名を名乗りだしました。おかげさまで、子供たちは問題なく、日本の学校に「全」で通うことが出来ました。
現在に至るまで子供たちは、通名を使ったことがありません。
(スーザン・メナデュー・チョン)
(2008.2.20 民団新聞)