いい人に出逢える月かも 「金さん、在日のお見合いパーティー行かへん?」
バイトの休憩中に突然誘われて、私は食べていたまかないの焼き飯を喉に詰まらせた。
私をパーティーに誘った彼女は、みんなから〞ねーやん〟と呼ばれている、バイト先の女番長だ。倖田來未似のきれいな子で、私よりひとつ年下の27歳、在日3世である。
ほとんど話をしたことがない彼女に誘われて、私は嬉しいような、恥ずかしいような…。お見合いパーティーってどんなだろう? とご飯を飲み込みながら考えていた。
ねーやんいわく、彼氏はいるけど、結婚は別だという。家族も同じ在日の人との結婚を望んでいるとのことだった。
うちの母は、「あなたが選んだ人なら国籍は問わない」という一方で、「でも在日の人と結婚した方が、あなた自身が精神的に楽だと思う」と言っている。
母いわく、日本で暮らしているといっても根本的な文化や風習、考え方が、日本の人とは少しずつ違う。結婚をすると、思いも寄らないところで角が立つから、同じ在日同士で結婚した方が何かと分かり合えるということらしい。
そのような話をねーやんにすると、「めっちゃ同感!」とうんうんうなずいていた。
ある集まりで知り合った方(男性、在日3世)は、中学時代の同級生が奥さんだと言っていた。中学の時、奥さんのオモニをみて決めたと言う。チェサをきっちり行う気丈なオモニに育てられた娘さんなら! と思い、中学生でお嫁さんにするぞ! と決めたのだとか。
同じ在日の人と出会う機会が少ない中、出会ったら中学生でも結婚を決意するというのは、ある意味正解かもしれない。
でも私は中学で結婚を決意できなかったし、お見合いパーティーに行く勇気もない。
「お見合いパーティー、今回は遠慮します」(私はねーやんに完全敬語)と言うと、ねーやんは「まあ、また行きたくなったら一緒に行こう!」と笑っていた。その後、ねーやんはカレーを食べながら、よく当たると評判の雑誌の占い記事を読んでくれた。
dsservice.fi 「金さん、今月恋愛運1位やで! ちなみに私は2位!」
3月、いい人に出逢えるのか!? とりあえず占いを信じたい。
(2008.3.12 民団新聞)