掲載日 : [2008-04-02] 照会数 : 4744
北韓の緑化に積極姿勢 環境部・統一部が計画
[ 北韓の山は段々畑政策に、薪を得るための乱伐が加わり多くがはげ山となっている。写真は南浦近郊 ]
NGO歓迎「政府の支援必要」
【ソウル】李明博政府は、南北双方にとって実益のある経済協力事業の拡大策の一つとして、韓半島全体の環境保全につながる「北韓の山林緑化」への協力を積極的に推進する方針だ。李大統領は、環境部に続き統一部に対しても具体化方案の検討を促した。北韓当局は最近、核問題の進展を経済協力と結び付ける李明博政府への非難を強めており、「具体化」は未知数だがこの間、北韓に樹木を植える運動を推進してきた韓国の非政府組織(NGO)諸団体も、「政府の支援が不可欠だ」と推進計画を歓迎している。協力具体化へ北韓当局の呼応が望まれている。
具体化へ北側の対応に関心
林野庁が昨年国会に提出した国政監査資料によると、全体国土面積の80%が山地である北韓の山林面積は総916万㌶で韓国の1・5倍になる。だが、山林の21・7%にあたる163万㌶が荒廃しているという。
北韓では食糧難を解決しようと、1970年代に山地の樹木を乱伐して山頂まで「段々畑」化した。その結果、少しの雨でも洪水が起こったり、表土が流失してはげ山となった。90年代に起きた自然災害の原因のひとつとして、この「段々畑」化政策があげられている。
エネルギー不足から燃料用の薪を得るための乱伐も加わり、山林は破壊された。肥料不足で生産性も低く、食糧生産が壊滅的な打撃を受けた。核・ミサイル開発など軍事最優先策とあいまって、飢餓による犠牲者は数百万人にものぼったとされる。
北韓は95年の大水害後、「造林10カ年計画」を樹立したが、うやむやに終わっておりその後も、毎年のように大水害や干害に見舞われ、食糧不足・飢饉が常態化している。
李大統領は、昨年の大統領選挙の際、山林が荒廃した北韓に「1億本の木を植える」という公約を打ち出していた。3月21日、光州科学技術院で行われた環境部の業務報告の席では、「北韓の山林の緑化は、統一に向けた備えであり、国土の保全にもつながる。国土の環境という価値を創出できるのではないか」と表明、「北韓の山林の緑化に関して、段階的な協力をしていかなければならない」と主張した。
李大統領は、さらに「(北韓の山林の緑化は)二酸化炭素の排出を減らすことになる。それは韓国でも新たな産業を創出することにつながるため、反対給付が生じる」と述べ、「国家的な次元で考えても、韓半島の緑化のためにプラスになるのだから、環境部が中心になり、統一部などと協議した上で、積極的に進めていけばいいのではないか」と提案した。
統一部は、26日の李大統領に対する業務報告「2008年度南北関係発展実行計画」で、「南北共生経済協力拡大」のための課題の一つとして「北韓山林緑化」を明らかにした。
具体的には、北韓の沙里院地域に10㌶規模の養苗場を造成し、民間次元の対北山林復旧事業に予算を支援する一方、国内企業の炭素排出権確保のために200㌶規模の対北造林模範事業を推進していく段取りだ。北韓山林に対する病害虫防除事業も進める。
韓国政府は、苗木や重機を送り、北韓の住民に木を植えさせ、人件費として食糧を支援することも検討しているという。
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市民1000人が植樹へ 金剛山と開城で
北韓に木を植える運動を推進してきた韓国の主要NGO団体は、政府の「北韓山林緑化協力推進」を歓迎、「皆が韓半島の環境の守り手になろう」というキャンペーンを始めた。5日の「植樹の日」(韓国)を前後して、約1000人が植樹のため北韓の金剛山や開城地域などを訪問する。
(2008.4.2 民団新聞)