掲載日 : [2008-06-11] 照会数 : 6802
韓国・朝鮮人元BC級戦犯 救済へ初の法案
[ 李鶴来さん ]
名誉回復と補償訴え53年
旧日本軍から捕虜監視要員として徴用され、第2次大戦終了後は連合国から捕虜虐待の罪を問われて刑死したり、拘禁されてきた韓半島と台湾出身の元BC級戦犯者に象徴的な補償を行うための議員立法案が5月29日、衆議院に提出された。被害者補償は巣鴨プリズンに収監された韓国・朝鮮人が55年に互助組織「韓国・朝鮮人元BC級戦犯者・同進会」を結成して以来の念願だった。
民主党が衆院に提出
法案の正式名称は「特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金支給法案」。「人道的精神に基づき」韓国・朝鮮人と台湾出身の元BC級戦犯とその遺族に各300万円を支給するというのがこの法案の骨子だ。法案づくりにあたっては、民主党の複数の議員が内閣法制局と協議してきた。対象者は連合国裁判で戦犯に問われた韓国・朝鮮人148人、台湾出身者173人の計321人。
法案提出を受けて民主党関係者とともに衆議院第2会館での記者会見に臨んだ「同進会」の李鶴来会長(81)は、植民地下の強制動員など、日本側の責任が法案に書き込まれなかったことなどには不満を見せたものの、日本の敗戦後、初めて実現した法案の提出に対しては高く評価した。
同進会は発足と同時に日本国による名誉回復と補償を求め、歴代の政府と息長く交渉を重ねてきた。しかし、動員したのは日本だが、裁いたのは連合国。こうした特殊な事情から法の狭間に置かれ、司法による救済もかなわなかった。しかし、最高裁は「深刻で甚大な被害を被った」事実は認定し、「救済は立法府の裁量」としていた。
記者会見で支援者の一人、内海愛子さんは「日本人として使いながら、援護の段階になると韓国人として外された当事者の怒りが53年間にわたる運動を支えてきた」と説明した。法案提出に尽力してきた民主党の泉健太議員は、「当事者も高齢化しており、次々に亡くなっている。裁判の原告で健在なのはいまや2人だけ。緊急に解決するべきだ」と訴えた。
法案の可決・成立は、今後、どれだけ与党の理解を得られるかがカギとなる。
泉議員は「各党に協力を申し入れる」と決意を新たにしていた。民主党副代表の円より子議員は「法案的には難しいが、政治的判断でなんとかできる」と自信を見せていた。
(2008.6.11 民団新聞)