掲載日 : [2008-06-28] 照会数 : 6031
<女性コラム>主婦歴9年目の決意
先月、発酵キムチの良さを伝えようと、韓国文化院でキムチ行事を開催した。その準備運営を担ったのが主婦歴9年目の私だが、キムチ作りの経験はない。だが思い出は多い。幼いころ、祖母はイワシを使って塩辛を作り、秋には娘と嫁4人を連れ裏庭で一日がかりで漬けていた。
日も暮れるころになると祖母は必ずその傍で遊ぶ孫を呼び、できたてのキムチを口に運んでくれた。そのキムチの美味しかったこと…。
日本人の母はキムチの基本を祖母に学び、後に料理本を参考にさまざまな薬味を白菜の葉で包んだ「ポッサムキムチ」、旬の食材を使った独自の菜の花キムチなど、多彩な腕前を見せる。
近ごろは父が地域の方に配ると、嫁いだ娘に送るキムチが足りないとまた作る。お陰で私は今も母のキムチを食べている。
留学したソウルでの十数年、やはり私はキムチを作ることも買う必要も無く生活した。常に友人の母たちがタッパー一杯のキムチを持たせてくれ、熟成したあの匂いをプンプンさせながら地下鉄、バスを乗り持ち帰った。
水に洗い、辛くはないと言いハーハーと食べたキムチ。愛情のいっぱい詰まったキムチを私はあたりまえのように食べてきた。
それを食べて育った私にキムチの無い生活は考えられない。
未だ作ったことのないキムチ。そろそろキムチの漬けられる主婦に育たなければ…。次の世代にその味と愛情と健康を届けるために。
李睦美(駐日韓国大使館韓国文化院職員)
(2008.6.25 民団新聞)