掲載日 : [2008-06-28] 照会数 : 5491
在日の献身忘れない 在外同胞財団の功績集
![](../old/upload/486b1c00c6479.jpg)
建国60年…韓国躍進の一翼担う
大韓民国建国60周年に際して、民団を中心とする在日同胞が韓国の発展にいかに大きな役割を果たしたか、その事実に内外国民の目を向けさせたい−−在日同胞の母国貢献史とも言うべき初めての記録集『母国とともに‐在日同胞100年の足跡』(B5判カラー330㌻)が韓国でこのほど、外交通商部の傘下機関である在外同胞財団によって発刊された。財団では、同書を国内各界の指導的人士や公共機関、世界各地の同胞団体などに広く頒布する。
内外国民に強くアピール
韓国では建国60周年に向けて、歴史事実を再発掘・再照明することで、南北分断という過酷な条件のなかでも、韓国が全民族の将来を担保する国力を築き、わが民族の国家としてその正当性をより確かなものにしてきた軌跡を確認する作業が進んでいる。
そうした機運のなかで、世界に堂々と誇れる国家的資産であるにもかかわらず、看過されている存在、祖国のために一貫して献身してくれているのに、疎外されている功労者、それはまさに在日同胞ではないか、との問題提起(「結びの言葉」から)が韓国内で根強くあり、それがそのまま動機となって編纂されたのが同書である。
財団の前理事長・李求弘氏が企画・推進し、昨年7月に発足した「在日同胞母国功績調査委員会」が編集した。この委員会は、国内の在日同胞問題の専門家で構成され、初代駐大阪総領事で外務部僑民局長などを歴任した金鎭弘氏が委員長を務めた。
同書は「6・25とオリンピック、そしてIMF‐激動の大韓民国史、その岐路で」「漢江の奇跡‐在日同胞の本国投資の歩み」「故郷愛‐セマウル運動と済州柑橘秘史」「誇らしい在日韓国人‐日本の中の韓国」「大韓民国が認定した2960人‐政府勲・褒章受章者」の5部で構成されている。
48年6月、ロンドン五輪に参加する韓国選手のために、スポーツ用具やユニフォーム一式、外国選手に手渡す記念品、旅費など一切の支援を行ったこと、しかもそれが日本社会の底辺での苦しい生活のなかから工面されたことをまず象徴的に取り上げ、在日同胞は韓国建国前夜から自己犠牲的に貢献してきたことを説き起こした。
6・25韓国戦争に参戦し、642人の内135人が犠牲となった在日学徒義勇軍については、第3次中東戦争時の海外イスラエル人義勇軍に17年先立つもので、海外国民としては世界でも最初の参戦だと新たな解釈を加えた。
漢江の奇跡についても、その先頭に立ったのは資本と技術、経営ノウハウを持ち込んだ在日同胞であり、韓国最初の産業工団である九老工団の建設を提案し、入所企業の70%を占めた事実などを紹介した。国民が貧困と飢えに苦しんだ時代には米やラジオを贈り、故郷に電気・水道を引き、道路や橋をつくってインフラを整えるばかりか、学校建設や奨学金制度設立など、人材育成に果たした役割にも言及した。 ソウルオリンピック時の誠金541億ウォン(現在価値で1800億ウォン)は、韓国史上最大を記録していること、97年のIMF外貨危機に際しての円貨送金運動が15億㌦に達したことに触れ、外資が逃げ出すなかで積極投資の呼び水をつくったことも強調された。
これらの他にも▽大使館など9カ所の駐日公館寄贈▽韓国史上最も大きな業績と評価されるセマウル運動積極支援▽韓国の金融界に新風を巻き起こした新韓銀行設立▽大災害時の各種誠金活動など、きめ細かく収録した。
しかし同書は、在日同胞の祖国・故郷への貢献記録は済州道を除く自治体や政府にはなく、その規模の大きさに比べればわずかな収録にとどまったとし、全体像を把握するのは今後の課題だと付言した。
(2008.6.25 民団新聞)