掲載日 : [19-02-20] 照会数 : 14872
「今こそJAPANに力道山!」出版会…夫人の敬子さんが秘話を紹介
[ 妻の立場で見た真実の姿を書いた『今こそJAPANに力道山!~空手チョップに込められた願い~』を手にする田中敬子さん ]
[ エピソードなども披露した呂健二民団中央本部団長 ]
[ 少年時代の大ヒーローだったと思い出を語る森英介衆議院議員 ]
日本プロレス界の父と称される故力道山(本名・金信洛=百田光浩)を妻の立場で見た真実の姿を書いた『今こそJAPANに力道山!~空手チョップに込められた願い~』を出版した力道山夫人の田中敬子さんを囲む「出版記念の集い」が19日、東京都内新宿区の中華料理店であった。
敬子夫人と親交の深い呂健二中央団長、金秀吉東京団長ら民団幹部をはじめ、在日同胞と日本の関係者が呼びかけ、60人余りが出席した。
敬子夫人は日本航空の客室乗務員時代からの出会いなどをふりかえりながら「結婚後、毎日毎日、主人から多くを学んだ。死後52年が経ちますが、主人の名を汚さないことが私の役目と思ってきた。この歳になっても主人の偉大さは言い尽くせないほど多くあると改めて感じている」としながら、「どういうわけか、孫が韓国系の航空会社であるアシアナ航空の客室乗務員になり、これも主人から受け継いだDNAですかね」と述べた。
また、力道山が「祖国と日本が素晴らしい国になるよう恩返しをしたい」と韓日両国が自分の故郷であることをつねに述べていたことを披露した。
日本テレビが隔週の金曜日夜8時から放送した『三菱ダイヤモンド・アワー』の日本プロレス中継は誰もが待ち望んでいた時間だ。街頭テレビや電気店の店頭は黒山の人だかりができ、力道山の死闘に大歓声がわき起こっていた。そして力道山見たさに、高価なテレビが売れだし、テレビの普及にもひと役買い、日本の経済復興にも貢献した。
当時を知る人のひとりで敬子夫人と親交がある、民団中央本部の呂健二団長は「我々にとっての大ヒーローだった。ルーテーズ、ボボブラジル、ブラッシー、キングコングなどとの時間無制限1本勝負には、夢中になって観ていた」とふり返り、「力道山以上の戦後のヒーローはいないと思う。そんな力道山は敬子夫人にとって守護霊だと思います」と祝辞を述べた。
元法務大臣を務め、千葉県日韓親善協会会長の森英介衆議院議員もかけつけ、「力道山の死闘は今でもまぶたに焼き付いている。私たちの少年時代の大ヒーローだった」としながら、「敬子夫人と結婚後、10か月後に亡くなりましたが、ある情報によると、力道山は最後の妻となった敬子さんをよほど惚れていたらしく、当時数多かった女性関係をすべて清算した上で結婚したと言われています。そんな秘話も書かれているであろう、この本の出版を大変うれしく思う」とのべ、乾杯の音頭をとった。
不慮の死を遂げたのは、前回の東京五輪(1964年)が開催される前年。敬子夫人は、2度目の東京五輪(2020年)を控え、今年の日本が当時と似ているという。
2020年東京五輪のスローガンの一つが「東日本大震災からの復興」であり、64年東京五輪を前にした時代、力道山が繰り出した「空手チョップ」には、日本国民に「元気、勇気、日本復興」を伝えようと願いをこめている。この一冊には、戦後復興の象徴だった力道山を、今だからこそ思い起こしてほしいという敬子さんの思いが詰まっている。
秘蔵の写真も多く公開され、敬子夫人しか知らない力道山の素顔、そして死の真相が描かれている。
アメリカでの単身プロレス修行をはじめ、出会いのきっかけ、プロポーズの思い出、結婚式での裏話、力道山の先見性など6テーマに分けて紹介している。
東京の星雲社刊。1500円+税。