尹錫悦大統領は27日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(29~30日)が開かれるスペイン・マドリードへ向けソウル空港(軍用空港)を出発した。就任後初の外遊となる。
重要パートナーである欧州との協力を強化しながら、北朝鮮問題について支持を要請する考えだ。韓国大統領が初めて出席するNATO首脳会議でどのような成果を出すか注目される。
◇新たな「戦略概念」採択へ 反中・反ロシア路線には警戒も。
今回のNATO首脳会議はロシアのウクライナ侵攻や米中対立の激化などで国際秩序が揺らぐ中で開催される。軍事同盟であるNATOは初めて韓国と日本、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国を「パートナー国」として招待した。いずれも中国と同じアジア太平洋地域に位置し、米国と同盟関係にある国だ。
今回の会議では中国の影響力拡大への対応を盛り込んだ新たな「戦略概念」を採択する方針だ。「オブザーバー」の資格ではあるが、NATO首脳会議参加は世界情勢が欧米と中ロによる「新冷戦」の様相を見せる中、欧米との結束を図る動きと映る可能性が高い。尹大統領は「包括的な安全保障」を掲げ、NATO加盟国と経済・人権・技術など多方面で協力を強化し、韓国外交の裾野を広げたい考えだ。NATOとの実質的な協力を強化しながらも、反中・反ロシア路線に本格的に進むとの懸念を払拭(ふっしょく)させるためのバランスを取らなければならない。
日本、オーストラリア、ニュージーランドとの4カ国首脳会談が見送られる公算が大きくなったのも、強硬な対中姿勢を堅持している日本、オーストラリア、ニュージーランドとの「蜜月」が尹政権の反中姿勢を示すメッセージとして受け止められることを懸念した結果との見方もある。
◇韓米日首脳会談開催へ 4年9カ月ぶり
尹大統領は北朝鮮の7回目の核実験の兆候が見られることを受け、北朝鮮の完全な非核化を強く求めるメッセージを発信する考えだ。NATO首脳会議で約3分間演説し、ウクライナ情勢や北朝鮮の繰り返される武力挑発に言及し、解決に向けた韓国の役割を表明する。
会議に合わせて4年9カ月ぶりに開かれる韓米日首脳会談でも北朝鮮問題が主な議題になる見通しだ。北朝鮮問題を巡る3カ国の連携を確認する一方、北朝鮮に対話を促すメッセージを発するとみられる。ただ、会談時間が約30分間にすぎないため、具体的な成果を打ち出すよりは今後の協力策を模索する形になる可能性が高い。
◇韓日首脳会談は開かれず 関係正常化の機会になるか
関心を集めた韓日首脳会談は開かれない見通しだ。来月に予定されている参院選など日本の国内事情に配慮したとみられる。尹大統領と岸田文雄首相は両国の関係正常化の必要性には共感しているが、選挙を控えた自民党が支持層の結集のため、韓国に融和的な態度を取ることを警戒しているとされる。
ただ、両首脳はNATO首脳会議のほか、スペイン国王主催の晩さん会、韓米日首脳会談に出席するため、3回以上顔を合わせるとみられ、関係改善を進めるきっかけが生まれるのか注目される。韓国の大統領室関係者は26日、「韓日の首脳が会談しないことと韓日の間に問題があると映ることは違う」と述べた。
◇9カ国・地域の首脳と個別会談 トップセールスも展開
韓国大統領室は経済協力に関しても尹大統領のNATO首脳会議出席の意味があると説明している。尹大統領は9カ国・地域の首脳と個別会談を行う。原子力輸出(チェコ、ポーランド、オランダ)や半導体(オランダ)、防衛産業(ポーランド)、再生可能エネルギー(デンマーク)など国・地域別にさまざまな懸案について協力策を模索する。
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