掲載日 : [21-04-21] 照会数 : 10628
朴安淳議長 第55回中央大会「評価」
第55回定期中央大会「評価」 扇動的ウソと客観的事実
朴安淳・民団中央本部議長
2021年 4月19日
民団の第55回定期中央大会が4月6日に終了しました。同大会では、選挙管理委員会(辛容祥委員長)が、団長に立候補していた任泰洙副団長の立候補登録を取り消し、呂健二前団長の無投票当選を宣言しました。これに対して、任泰洙候補を積極的に支持してきた東京地方本部団長を中心に「民団中央正常化委員会」なるものを構成し、「臨時中央大会開催を求める賛同署名」を中央委員・代議員に呼びかけています。
「開催を求める趣旨文」は、6日の大会について「規約を無視した異常な形で終了した」と強弁。「賛同署名要請趣旨文」でも、同一の主張を繰り返すなど、あいも変わらず事実と異なる一方的な宣伝をもって、中央委員、代議員そして一般団員らをミスリードしようとしています。
彼らの主張が、いかに的はずれなものであり、しかもウソ・虚偽に満ちているかは、金一男・第54期民団中央委員「『正常化委員会』の勇気ある撤退を求めます」(14日付「民団新聞」)、千葉県在住民団団員有志の会「臨時中央大会開催を求める趣旨文への反論」(統一日報電子版掲載)などで的確に指摘されています。
私は、議決機関に関する部分を中心に、同委員会の主張のウソ・誤りを「要請趣旨文」などに即していくつか指摘したいと思います。第55回定期中央大会をめぐる混乱事態について、中央委員・代議員、そして団員の皆様が、冷静かつ賢明に対処するうえでの理解増進の一助になれば幸いです。
中央委員など不参加は組織決定事項
1.「大会構成員である中央委員、代議員の入場を禁止するため、会場の扉を施錠し、選管委員と一部の中央三機関役員だけの出席という前代未聞の異様な形で強行され終了した」(趣旨文の冒頭)
事実はどうか。もともと今回の定期中央委員会および定期中央大会は、全国的に新型コロナウイルス感染拡大が止まない状況にあって、500人を超える中央委員、代議員を一堂に集めての中央委員会・大会の開催は不可能なため「書面決議」(中央委員会)と「郵便投票」(中央大会)とし、当日、会場でのあいさつ、報告などをユーチューブで視聴可能にすることになっていました。ちなみに1月20日の第19回中央執行委員会・3機関協議および選挙管理委員会で協議、決定され公文が送付されています。
したがって、2月26日の第75回定期中央委員会は、中央委員の参加なしの書面決議方式で行われました。同日の第55回定期中央大会も、会場に入れたのは、中央本部の3機関任員、選挙管理委員会委員、3機関長立候補者、開票時の立会人、運営要員(中央常任委員・職員)、顧問だけでした。選管委の要請で休会となり、続会された3月12日も同様でした。4月6日の再続会も、今大会開催・運営の基本ルールを順守したに過ぎません。ちなみに「正常化委員会」代表の李壽源氏(東京本部団長)は中央執行委員会のメンバーであり、こうした経緯をよく知っています。にもかかわらず「中央委員・代議員の出席無き大会」だと盛んに煽りたてるのはなぜでしょうか。
「中央委員、代議員の入場を禁止するため、会場の扉を施錠」云々は、まったくのウソで、ためにするものです。施錠したのは、3月12日の続会時に、任候補事務所関係者と東京の支持グループら(20人前後)が会場(中央会館8階大ホール)の廊下で、「中に入れろ」などと扉をたたき大声で騒ぎ、大会の正常な運営を妨げた経緯があり、今回もまた押し寄せてきた場合に備えてのものでした。ちなみに「中に入れろ」などと中心になって扇動していたのは「正常化委員会」メンバーの東京本部副団長兼事務局長でした。しかも12日の続会時は、議事進行の副議長が、傍聴も一切認めないとの今大会運営の基本ルールを全く無視し、彼らを静かにさせるどころか、逆に会場内に招き入れました。今大会では、中央委員、代議員が視聴できるようにユーチューブによる映像中継が行われています。6日は大会会場と同じ8階の小会議室を開放して大きな画面での視聴が可能でありました。「密室での自分たちのみの大会」などとの非難もまた、ためにするものにほかなりません。
規約に則った運営と「当選宣言」
2.「総辞職して権限のない前議長(立候補者)が前回大会(3月12日)で選管委報告を却下した副議長に対して、『議事進行を紛糾させた』と責任追及。前議長は辞職していない副議長を『辞職した』と虚偽報告し、議事を一人で進行――など、規約に則らない運営を強行した」(趣旨文)
まず、指摘しておきたいのは中央大会の役割は「宣言、綱領、規約の制定及び改正とこれに準ずる重大事項を議決し、3機関役員と中央委員を選出することです(「規約第9条1」)。12日の続会では、選挙管理委員会が「報告」で「任泰洙氏の中央団長立候補登録の取り消し決定の事由、根拠」と合わせて「開票しない理由」について明らかにしました。ところが議事進行の趙龍済副議長が、議決機関には選管委の決定を却下する権限はないにもかかわらず、「任候補は立候補取り消しに当らない」と選管委の報告を無視して、「開票」を宣言、指示したのです。
このため、組織局長が選挙管理規定第12条2「選挙管理委員長は投票の完了を確認し、開票の開始と終了を宣言する」を示して、「開票は選挙管理委員長の専権事項であり、議決機関の開票宣言は明らかな重大規約違反である。選管委の決定も、議決機関が却下する問題ではない」と指摘しました。もう一人の韓賢澤副議長は、指摘を受けいれ、開票宣言の無効を言い渡すとともに「この責任をとって議長団を降ります。辞任します」と言明して会場から出ていきました。その後、休会が宣言され、「当選宣言」が先送りにされました。
そもそも、副議長が規約を順守していたなら、この日のうちに選管委の報告に基づき3機関長の「当選宣言」(選挙管理規定第13条4=当選宣言は選挙管理委員会の報告により議長が宣言する)がなされ、第55回大会は終わっていたのです。休会となった直後、趙副議長が議長室で議長の私に「3年間お世話になりました。ご迷惑をかけました。辞めます」と明確に辞意を表明したため受理しました。このあと、両副議長からは連絡がありませんでした。したがって4月2日付け議長公文で、各地方団長および中央傘下団体長に両副議長の辞任を通知しました。
「正常化委員会」は、私・朴安淳に対して「総辞職して権限のない前議長(立候補者)」と決めつけ非難しています。だが、規約第65条に「大会期間中、中央委員会及び代議員の任期完了または総辞職があった時には、該当構成員が、大会完了時までその任期を引き続き行使する」と明示しています。同規約に基づき、朴安淳が議長席につき、議事進行の任に当たることに問題はないことは、3月12日の続会に先立つ中央3機関長協議で確認されています。そして中央本部は4月2日付組織局長名公文で中央3機関長協議(4月1日)に基づく規約第65条と中央大会議事進行に関する統一解釈を明らかにしています。
第65条の解釈に関しては、「大会の途中に任期満了、総辞職があっても以下の該当構成員が大会終了まで任務を継続するという趣旨」と説明。「該当構成員」については「3機関任員(議長、副議長、団長、副団長、監察委員長、監察委員)、事務総長、(常任)顧問、(直選)中央委員、代議員、執行委員」だと明示。そして、中央大会の議事進行に関しては「議長、副議長が立候補者であっても、単一候補の場合は選挙が行われないので議事進行は継続できる」としています。
規約を無視して選管委報告を却下し、開票まで指示して議事進行を紛糾させたあげく大会を休会させた副議長に対して、議長職にある朴安淳が、厳しく批判してなんら問題がないはずです。私に対して副議長は「議事進行を自分たちに任せてほしい」と自ら申し出ていたのです。そのために私は、議事進行を副議長(2人)に任せ、議長席につかなかったのです。
このような権限逸脱行為を行い、正当な理由もなく大会を休会させ、3機関長選出を妨害したことについて両副議長は、いまだに中央委員・代議員そして全国の団員に対して謝罪もお詫びのことばもありません。中央副義長の要職にあったものとして、説明責任があるにもかかわらず一言半句もないのは、あまりにも不誠実かつ無責任といわざるをえません。
事実に即して、少しでも考えるなら、「規約に則らない運営を強行した」のは、私ではなく、「正常化委員会」が積極的に支持・擁護する副義長であることは明らかです。趙副議長は、中央本部3機関任員、常任顧問・顧問、中央委員および中央代議員宛の「抗弁書」(4月3日)で「議事進行の不手際があり、休会後に朴安淳議長にお詫びしました。しかしながら辞意の表明はしておりません。韓賢澤副議長も辞表は提出しておりません」と主張。同時に「これほど明確な規約違反が、中央会館の密室で行われていることに狂気すら感じずにはいられません」などと、当日の自分の言動(重大な規約違反)を棚に上げて責任転嫁に躍起になっています。その一方で「私は自らの行動に、一点の曇りなきことを誓います」などと力説しています。
これは、「選管委報告無視」と「開票指示」が、「議事進行の不手際」によるものではなく、議長の私を議事進行からはずさせることから始まり、事前に計画されていたと疑わせるに十分なものです。このような副議長に、民団の最高議決機関である重要な大会の公正な運営を期待して引き続き議事進行を委ねることは、到底できませんでした。前副議長の「抗弁書」をもとに「虚偽報告」云々などとする私への非難もまた、第55回定期大会後の中央本部体制を貶めようと、ためにするものといわざるをえません。
団員を第一に考え自主的に解散を
3.「選挙管理委員会による一方的な任泰洙候補の立候補取り消し/中央委員・代議員・選挙人の投票を開票しない民意の無視―など規約に則らない運営を強行した」(趣旨文)
民団組織の混乱を意図的に扇動する「正常化委員会」のこうした主張は、任泰洙候補の主張同様にまったく的はずれで、問題の本質から目をそらそうとするものです。選挙管理委員会は、正式な手続きを経て構成・設置された委員会で、その委員会が任泰洙候補の立候補取り消しを決定したため、呂健二候補が単一候補となったのです。したがって選挙管理規定「第13条3」(単一候補の場合は無投票で選出される)に基づき呂健二候補が団長に選出され、同規定「第13条4」(当選宣言は選挙管理委員会の報告により議長が宣言する)に基づき、議長が当選宣言をしたのです。前述したとおり、選挙管理委員会の決定事項を議決機関が取り消す権限はありません。
選挙管理委員会は3月12日の続会で行った「報告」で「任泰洙候補の立候補登録の取り消し決定事由」について、①任候補が起訴され、有罪判決を受けていた事実が明白になった②これにより、任候補がこの間、自身の経歴に関して嘘をつき続け、全国の団員や有権者に虚偽の事項を伝え続けて、私たちを欺いてきたことが明白になった②任候補には大会が続開される前に登録の取り消し決定を通知している③全国民団を代表する中央団長候補者が嘘を重ねてきたことは、信用を損ない、信頼を裏切るもので、背信行為である。また任候補は、この間、当選管委との面談において「記憶にない」と強弁し、一言の謝罪もなかった――と明らかにしています。
「開票しない理由」についても、選管委は①任候補と選挙事務所は「恐喝未遂とは全く関係ない」「事件になりませんでした」と、無実で不起訴になったかのような虚偽の文書を繰り返し配布し、選挙運動をしてきた。これを信じて投票した有権者は、虚偽の情報に騙されたことになる②任候補が自分の「経歴に関し、虚偽の事項を公にした」という事実は、選挙人の公正な判断に影響を及ぼしており、そのようなもとで行われた投票は、公正でないというのが、選管委の見解であり、開票しない理由である③任候補は、虚偽を流し、全国の団員、有権者を欺いてきたわけですから。しかも、選挙違反行為で立候補登録が取り消されたので、開票はできない――ときちんと説明しています。選管委は3月18日、地方団長、中央傘下団体長、中央委員・代議員宛の文書で、「任泰洙候補の立候補登録の取り消し決定事由」および「開票しない理由」について明記、改めて説明しています。
これに対して異論があるならば任候補は、正々堂々と反論して有権者にその是非を問うべきです。任候補は公式の場でも弁明、反論する機会がありながらも行わず、なぜか沈黙しています。そうでありながら任候補は「開票要求」をとり下げず、各地方団長、中央委員・代議員らに賛同を促してきました。そして「正常化委員会」は、「投票用紙」が開封されずに廃棄されたことを非難しています。しかし、任候補の履歴詐称が明らかになった以上、これを「候補資格の失格」とした選管の判断はまったく正当な決定です(選挙管理規定第7条<選挙管理委員会の任務>の6=立候補者の選挙運動に明確な違反行為がある時、調査、審議を行い登録を取り消すことができる)。単一候補となった呂健二候補が自動的に当選となるのも、当然のことです(同管理規定第13条<当選>の3)。「投票用紙」を開票することも無意味なものになったのです。
たとえ、任候補が失格とならなかった場合でも「開票」はありえません。「無実で不起訴になった」かのような任候補・事務所の虚偽報告・宣伝・情報に騙されて投票した有権者が少なからずいるはずなので「開票」すべきではないのです。「開票による集計結果」は「民意」を正確に反映しているとはいえません。「開票」しないことは「民意の無視」ではありません。「投票者の真意を尊重する」なら「汚された投票」を開票してはならないのです。候補者の履歴詐称により汚染された投票用紙は「廃棄」されなければなりません。大会が終了した以上、投票用紙を処分するのは当然のことです。これまでの中央大会でもシュレッダーにかけ処分されてきました。なんら非難されることではありません。
任候補は、自らが有権者にウソをつき、欺き騙して投票を誘導し、「貴重な一票」を詐取したことについて、有権者に一度も謝罪していません。といって選挙管理委員会報告への公式反論も発表していません。有権者である中央委員・代議員に対して説明責任を果たす意思が見うけられません。本当に反省しているのであれば、「開票しない」ように率先して要望すべきです。「正常化委員会」も同様です。選挙管理委員会報告の「任泰洙候補の立候補登録の取り消し決定事由」および「開票しない理由」に対して、正式かつ具体的に反論することなく、一方的に選管委を攻撃しているのです。そもそも「任候補がウソをつき、有権者を欺き騙して投票を誘導してきた」という最も肝心なことに触れることを避け、隠蔽しようとしています。
しかも問題の本質をすり替え、第55回定期大会終了後も、選挙管理委員会に対して、あたかも対立候補の方に肩入れしてきたかのように中傷誹謗を執拗に繰り返しています。合わせて新たに発足した呂健二団長を中心とした中央本部への攻撃を止めず、新体制の早期構築を阻止しようと、責任転嫁と虚偽宣伝によって民団中央への不安・不信を扇動・助長するのに全力を注いでいます。「民団の危機的状況」を強調していますが、「規約無視」により混乱事態を長期化させ危機的状況をあえて作り出しているのは「正常化委員会」です。
選挙管理委員会は16日の「追加報告」で、「本団組織の混乱を意図的に扇動する『正常化委員会』なるものの分派的な動きがみられます。このような行動は民団破壊活動に繋がるものです」と警鐘を鳴らしています。同時に「賢明なる中央委員・代議員の皆さま、民団をおとしめ、混乱を煽る『正常化委員会』に決して同調しないよう、規約を遵守し、融和体制で乗り越えましょう」と呼びかけています。
本当に民団組織を大事に思い、団員・同胞のためを第一に考えているならば、「正常化委員会」は、これ以上問題の本質をすり替え責任転嫁と虚偽宣伝・虚偽情報拡散による民団中央本部への攻撃扇動を直ちに止め、自主的に解散すべきです。任泰洙氏には、在日同胞社会のリーダーの一人として、説明責任を果たすとともに、民団中央本部の強化と民団の信用回復のために積極的に協助するよう願ってやみません。