掲載日 : [2019-03-06] 照会数 : 6653
「群馬の森」訴訟…追悼碑撤去に待った 東京高裁が「和解勧試」通告
[ 裁判後、結果を報告する弁護団長の角田義一さん ]
「守る会」が歓迎表明
【群馬】高崎市内の県立公園「群馬の森」に建つ韓国・朝鮮人労働者追悼碑「記憶・反省そして友好」をめぐる民事訴訟の控訴審第3回口頭弁論が2月27日、東京高裁であった。大段亨裁判長は第2回口頭弁論のときよりもさらに踏み込んだ表現で和解が相当との判断を示した。
群馬県はヘイトスピーチを繰り返す一部右翼団体や歴史修正主義者らからの圧力を受けて追悼碑を撤去(10年目の設置期間更新を不許可)しようとしているのに対し、追悼碑を管理する市民団体「守る会」は取り消しを求めて対立している。
1審前橋地裁は県の不許可処分は「裁量権の逸脱」だとして原告一部勝訴の判決を言い渡したが、更新の義務づけまでは認めなかった。このため、市民団体は追悼碑を守るために控訴した。
一方、県側も「追悼碑の前で設置条件違反となる政治的発言、行事がなされたのであるから、設置期間更新申請を不許可にするのは当然」と1歩も引かない。
この日、市民団体は今後、追悼碑の前で政治的発言ととられるようなスピーチをしないことなどを約束し、設置期間の更新を求めた。
これを受けて裁判所は、市民団体の提案を持ち帰り、受け入れるかどうか、受け入れないならば対案を出すようにと県側に求めた。そのうえで次回口頭弁論の期日を設定せず20日に「和解勧試」を行うと通告した。
市民団体の弁護団事務局長を務める下山順さんは「裁判長の心証がわかり、大きな意味がある。1審では勝っているので、よもや和解で覆るようなことはないだろう」と歓迎している。ただし、県があくまで撤去に固執したときは再び口頭弁論が続く。
(2019.03.06 民団新聞)