
「ヘイトスピーチを考える西宮市民の会」共同代表
小西和治
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意図的な歴史偽造
在日の子どもたちを直撃
「検証・いわゆる従軍慰安婦展」なる展示会が全国で展開されている。関西地区での主催は「凛風やまと・獅子の会」で、中心は差別・排外者集団「在日特権を許さない市民の会」の元支部長級の人物である。展示内容は問題の理性的検証ではなく、差別煽動のパネルを公的施設で発表するものである。参加呼びかけの宣伝やチラシも憎悪に満ちており、在日コリアンを著しく傷つけている。内容の例を紹介し、彼らの手口と問題点を明らかにしたい。
「対馬危機」もでっちあげ
パネルによると「売春が伝統文化・基幹産業の韓国」「だから在日韓国・朝鮮人は嫌われています」「破格の寛容と、温情によってこの国のお世話になっていながら、在日と呼ばれる人たちの中には(略)教育や政治にまで口をはさみ(略)不当な要求を次々と行っています。(略)日本に迷惑をかける外国人は居てほしくありません」などとある。
すなわち彼らは、韓国の歴史を古代から現代にいたるまでことごとく、遅れた劣ったものであるとし、数々の悪事をしている在日コリアンを日本から追い出すべきと断定している。
「対馬が危ない」のパネルでは、韓国は「対馬に対して領有を主張」し「韓国企業による土地の買いあさりも激しい」と危機感を煽っている。
しかし、対馬の土地のうち、韓国人(在日を含む)の所有地比率は0・0069%であり、「最近はそういう(土地購入)話もまったく聞かないと、永尾榮啓・総務企画部長(対馬市)ともども顔を見合せる」(柳原滋雄「対馬が危ない!!」キャンペーンのお粗末‐週刊金曜日775号より)というのが真相である。
また、彼らのパネルでは「ハングル(朝鮮語)普及に努めた日本。朝鮮総督府はハングルを普及し朝鮮人識字率(略)向上させた」(ママ)と説明する。
しかし、朝鮮は1894年に「公文にハングルを使用」を決定し、またイザベラ・バード「朝鮮紀行」(1897年)は「莫大な数の書堂(ソダン)の存在」を指摘している。
朝鮮総督府が定めた第二次朝鮮教育令では「普通学校における日本語の授業時間は朝鮮語の時間の3・2倍(第三次教育令でさらに日本語が増加)」。即ち言語教育の主目的は日本語教育だったのは明白である。
一方、配布チラシ「連行される朝鮮人だという強制連行の嘘」に転載した写真については、「この写真を『連れて行かれる』韓国人労働者としているが、ヘルメットに迷彩服を着ている長身の兵士たちは米兵である」「強制連行の写真などあるはずが無い。みんな作り話だから」と決めつける。
しかし、写真(「中央日報」13年3月1日を転載)の下の韓国語解説には「日帝強制占領期にタラワ島に連れて行かれた韓国人労働者の姿」とあり、1943年ごろギルバート諸島に進駐した米軍によって日帝支配から解放された韓国人の姿を写した米国国家記録管理庁所蔵の写真である。
『連れて行かれる』ではなく、『連れて行かれた』なのである。意図的な誤訳や事実誤認によって自己の主張を正当化するのは彼らの常套手段だ。
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市民有志が対応措置 西宮
「(略)教育の呆れた実態」では、公立学校のホームページ写真や校内新聞を盗用し、児童や担当教員の個人名が識別されるものもあり、肖像権や著作権侵害・盗用(犯罪行為)にあたる。また、従軍慰安婦の個人写真も無断で盗用されており、内容も本人の名誉を傷つけるものである。これは、肖像権だけでなく人格権侵害として問題化しつつある。
また、現在採択されている教科書を誹謗中傷し「つくる会」教科書の「身びいき宣伝」が多数存在する。これは教科書採択の公正化のため「外部からの不当な働きかけ等により採択が歪められたなどの疑念が抱かれるようなこと」(文科省通知)に正面から違反する行為である。
さらに「朝日新聞」購読中止の呼びかけパネルも多数あり、「産経新聞」購読勧誘も行われているが、特定企業の営業妨害や販売促進のために公的施設を使用することも許されない。
兵庫県西宮市で、ヘイト書き込みを見た「在日」の小学生が在日教員に心の痛みを訴え、それを聞いた教員も子どもを抱きしめ、一緒に泣き続ける以外なにもできなかったということがあった。
大人も耐えられないヘイト展示や宣伝活動に、より傷つけられるのは成長途上の子どもたちだ。その心情を吐露する相手がいない場合も多い。
差別街宣や差別落書き以上の膨大な情報量で迫ってくる展示は、歴史を偽造し、差別を煽動する。そのため、大阪の門真市は、この展示への施設貸出禁止に踏み切った。そして、千葉市、川崎市がこれに続いている。
西宮でも、市民有志が立ちあがり、市への公共施設使用許可取り消し要求、さらにアムネスティ日本「慰安婦」問題チーム・コーディネイターの山下明子氏らを招いての「ヘイトスピーチと『慰安婦』問題を考えるオープンセミナー」開催などが計画されている。
(2014.11.12 民団新聞)
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