掲載日 : [2004-08-15] 照会数 : 5559
<韓流>韓国式デザートが人気、新宿・職安通りが発信
[ トッポッキを味わう日本人女性 ]
[ ホットクにほころぶ笑顔 ]
最近、「韓国スイーツ」の噂をよく耳にするようになった。
噂の発信源は韓国人の街として知られる東京・新宿の職安通り。
韓流の風やスイーツの味に乗り、街のイメージまで一新する「何か」がこの街で起きている。
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JR新大久保駅から徒歩5分。韓国の学生街で人気を集める麺やチヂミを提供するプンシクチプ(粉食店)がここ職安通りにもある。
70種近くのメニューを誇る「韓国学生街料理・広場粉食」の一番人気はさつま揚げや野菜のエキスが溶け込んだ甘辛いコチュジャンソースを細長いトッ(餅)に絡めた「トッポッキ」(800円)。甘さと辛さを調和させた韓国ならではのスイーツだ。
夏本番の今、「パッピンス」(850円)もよく注文されるようになった。「パッ」=「小豆」、「ピン」=「氷」、「ス」=「水」、という単語からわかるように、韓国版カキ氷のパッピンスは、一本調子な甘さの日本のカキ氷とは異なり、トッピングの種類が豊富なのが特徴。黄桃など4〜5種類の果物にはじまり、小さな餅やナタデココまで盛り付けられたパッピンスをピビンバのように混ぜて食べると、氷が甘味をかろやかに融和させ、いくらでも食べられてしまう。
次に、職安通りで最も話題のスイーツがドン・キホーテ新宿店隣に店舗を構える「ミレクレー」の韓国発・脅威の33㌢ソフトクリーム、「TOKYO TOWER―333」(300円)だ。
バニラとチョコレート、ミックスの3つの味があり、注文すると店舗の外側にあるソフトクリーム・マシンで見事な高さのソフトクリームを作ってくれる。
食べきれるか不安になるほど巨大だが、昔懐かしの「アイスクリン」を連想させるさっぱりした味で、難なく完食できる。
秋に向け、「21世紀HoToK」の「ホットク」(200円)もお薦めしたいスイーツのひとつだ。
韓国では砂糖とピーナツ、シナモンが入った蜜味が主だが、21世紀HoToKでは、蜜味のほかに小豆餡とチーズも選択できる。たっぷりの油で焼かれたホットクのもちもちっとした生地の中から蜜がとろけ出し、文句なしにうまい。チーズは生地に溶けこみ、まるで西欧の郷土菓子のような風味。21世紀HoToKでは研究を重ね日本人の味覚に合うように現在のレシピを完成させた。
職安通りには観光バスが停まるようになった。
韓流に乗った日本人が、少しでも韓国を身近に感じようと職安通り界隈を訪れるのだ。広場粉食の店員・安さんは「最近、顧客の8割が日本人になった」といい、21世紀HoToKを経営する(株)巨山の李部長は「8年前のオープン当時は故郷の味を懐かしむ韓国人留学生や在日同胞の顧客がほとんどだった。今では韓国に興味を持った日本人がこの街に来て、物珍しさから口にしたスイーツのリピーターになり、またこの街を訪れる」と語った。
そして、確信犯的に韓流に便乗したのが今年3月からTOKYO TOWER―333を売り出したミレクレーの女社長・河さんだ。韓国本土の巨大ソフトクリームを見て、「韓国ブームが起きている日本でも売れるのでは」との読みは見事的中。ソフトクリームの平日平均売り上げは100〜150個。週末は更に売れる。顧客のほとんどは日本人の若者で、口コミで一気に広まった。
日本人がまるで海外旅行を楽しむようにスイーツ片手に職安通りを歩く。雑貨店で働く韓国人の店員は覚えたての韓国語を試したい日本人女性たちの人気者だ。
かつてティラミスやナタデココなどのスイーツは、雑誌媒体や食材メーカーの仕掛けによって「社会現象」と呼ばれるまでもてはやされたが一瞬のうちに流行は過ぎた。おいしいスイーツであったにもかかわらず、商品イメージの先行に消費者は振り回され、飽きられてしまった。
韓流も仕掛けられた一過性のブームだ、という声が一部メディアにはある。これらスイーツも韓流も一過性のブームなのか、中身や味がともなった嗜好品なのか、自分の五感で判断すればおのずと答えがでるはずだ。
(2004.8.15 民団新聞)