掲載日 : [2004-08-15] 照会数 : 5255
「来年の光復節を合同で」 中央団長が総連に提議(04.8.15)
[ 日比谷公会堂で行われた第59周年光復節中央式典 ]
「原点」を和合の契機に…南北へ共同訪問団も
民団中央本部の金宰淑団長は15日、東京・日比谷公会堂で開催された「第59周年光復節慶祝中央式典」の慶祝辞を通じ、朝鮮総連中央本部に対して、来年の光復節60周年式典の共同開催を正式に提議した。祖国解放の喜びを分かち合った在日同胞の原点に帰るとともに、6・15南北頂上会談5周年に当たって両組織の和合を図り、南北共同宣言の精神を在日同胞社会でも具現しようというもの。光復節式典の共同開催提議は初めて。
金中央団長は慶祝辞でまず、「20世紀の苦難を克服してきた強い意志と実績を担保として、21世紀の明るい在日同胞社会を構築するために、『平和』と『人権』、『教育』と『福祉』、そして『同胞和合』をキーワードに新たな飛躍をめざそう」と訴え、在日同胞の力量を結集するために民団と朝鮮総連は、対立を克服できなかったことを謙虚に反省し、葛藤を乗り越えなければならないと強調した。
さらに、「両団体の間には理念と見解の違いがあるにせよ、在日同胞として共通する多くの課題を抱えている」との認識を示し、「誠実な対話と交流を通じて信頼関係を醸成し、対立の歴史に終止符を打つべき時が訪れた」との確信を表明、朝鮮総連に対して次のように呼びかけた。
①60周年となる来年の光復節に両団体の中央本部の共催によって、すべての同胞が参加可能な祝賀行事を開催しよう。その準備段階として、和合の雰囲気を盛り上げる地域単位での交流を推進しよう。
②交流・協力関係を構築する象徴的な事業として、両団体が代表団を構成し、ソウルと平壌を共同訪問しよう。
③在日同胞社会の懸案事項の解決を目指して、中央本部単位で常設協議機構を設置しよう。
金中央団長はこれらの提議について、「南北共同宣言の精神を想起」し、「在日同胞社会の未来をともに築くため、民族的な次元に立った朝鮮総連の肯定的な対応」を求める。
民団と朝鮮総連の交流は、1991年の卓球世界選手権千葉大会で南北単一チームを共同応援して以来、多彩かつ活発に行われてきた。
新年会、花見会、敬老会などの年中行事、囲碁大会やゴルフコンペなどの親睦行事だけではない。年金・福祉問題で行政当局と共同で交渉に当たったこともある。01年に開かれた同胞と日本人の共生の祝祭「大阪ハナ・マトゥリ」に共同参加して以降、両団体の大阪本部は親密の度を深め、交流の機会を増やしてきた。サッカーW杯韓日共催大会では両団体の中央本部が協議を重ね、「在日同胞参観団」を構成、韓国チームを応援したこともある。
光復節をはじめ歴史的な節目に際しての共同事業はまだないものの、共同式典がいつ開かれてもおかしくないほどに機は熟しつつある。朝鮮総連は7月27日の「総連本部委員長会議」で、「6・15北南共同宣言発表5周年と祖国光復60周年に向け、祖国統一事業と民族団合事業を力強く展開」する方針を確認している(朝鮮新報7月30日付)。
大きな歴史的節目となる来年の光復節は、祖国解放の喜びを分かち合ったことを想起し、同じ在日同胞としての原点にともに立つことで、「和合」・「団合」を実現する絶好の機会といえる。
(2004.8.15 民団新聞)