掲載日 : [2004-08-18] 照会数 : 3461
光復節 盧武鉉大統領の慶祝辞(全文)(04.8.18)
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東北アの中軸国家へ強い意志もとう
無から有を創造した精神で未来を開拓へ
「過去」清算し真の団結を
尊敬する国民の皆さん、そして海外同胞の皆さん。
59周年の光復節をすべての国民とともにお祝いします。合わせて今日をもたらした愛国先烈の高い意志を称えます。
不義と圧制に屈せずに、日帝とまみえて闘った先烈の輝かしい精神があったからこそ、今私たちが堂々と生きることができます。先烈の犠牲と功労が今日の大韓民国をあらしめました。
すべてを捧げ、独立した国と不屈の民族魂を伝えて下さった愛国先烈に頭を垂れ、敬意を表します。独立有功者と遺家族の皆さんにも深い尊敬と感謝の言葉を送ります。
先烈に誇れる世界経済11位
国民の皆さん。
私たちは先烈が夢見た豊かで力のある国を建設するため、過去半世紀の間、邁進してきました。
先烈は戦争の灰の山の上に、世界11位の経済を成し遂げた私たちを誇りに思うことでしょう。軍事独裁を退け、民主主義を花開かせた私たちに満足することでしょう。今、アテネで走っている私たちの立派な息子、娘たちを見ながら、1936年のベルリンで積もった鬱憤も今や解き放たれたことでしょう。
今日まで達成した経済的成就と民主主義の発展は、わが国民の偉大な力量を見せた神話とも言える歴史です。
しかし、わが国民の底力はここでとどまりません。もう一段階跳躍した大韓民国をつくるため、新しい挑戦に進み出ています。
国民が政治の堂々とした主役として登場してきました。過去数10年間継続した指示と統制のくびきから脱したのです。国民の力によって透明できれいな政治を実現しつつあります。
民主主義が進展するのに合わせ、わが国の経済も変化しています。政府が経済を引っ張った官治時代を脱し、市場経済の自律性と創意性を高めています。政経癒着と不公正取引、独占の風土を根絶しながら、公正で透明な市場をつくっています。
今私たちの前に多くの課題がありますが、大韓民国は驚くべき速度で変化しています。より秀でた未来に向けて前進しています。このような新しい大韓民国をつくっていくこと、これこそが先烈の意志を引き継ぎ、その犠牲に応える道だと確信します。
国民の皆さん。
しかし、今この時間にも私たちには愛国先烈に対する尊敬どころか顔をあげることができない恥ずかしさが残っています。光復60周年を前にした今も親日の残滓が清算できず、歴史の真実さえありのままに明らかにされていないためです。
愛国先烈が一つしかない命まで捧げ闘争したその時間に、民族を裏切り、植民統治を先頭に立って代弁した親日行為が、依然として歴史のいたるところに埋まっています。
私たちはこの歪曲された歴史を正さなくてはなりません。真相でも明白に明かし、歴史の教訓としなければなりません。
ここに来て、反民族親日派を処罰し、彼らの既得権を剥奪しようというのではありません。過去に戻ろうというのではなおさらありません。
正しい未来を創造するためです。歴史は未来を創造する根っこです。私たちの子どもたちに正義と良心が生きている正しい歴史を教えてこそ、彼らが正しい未来をつくりだすことができるからです。今日私たちがこの場に集まり、59年前の光復の意味を反芻する理由もまさにここにあるのです。 明らかにすることは明らかにし、反省しなければなりません。その土台の上に許し、和解しなければなりません。それが真に国民の力を一つに集める道です。
国民の皆さん。
反民族親日行為だけが真相糾明の対象ではありません。過去国家権力がしでかした人権侵害と不法行為もその対象にならなければなりません。真相を糾明し、二度とそのようなことがないようにしなければなりません。
糾明委設置し歴史の真相を
私はこの場を借りて、過去の歴史で争点になった事案を包括的に正す真相糾明特別委員会を国会内につくることを提議します。
国会が正しい真相糾明という原則にだけ同意すれば、具体的な方法は国民の皆さんの意見を収れんし、充分に合意することができます。
この間、各種の真相調査が起きるたびに国家機関の隠蔽と非協力問題が論難対象となりました。
しかし、今回だけはそのような非理をなくさなくてはならないのです。告白しなくてはならないことがあれば、機関がまず勇気をもって明かし、新しく出発しなくてはなりません。
この間、様々な理由で数10年先送りしてきました。いつかはしなければならない歴史的課題であるならば、今私たちがしなければなりません。今が桎梏の歴史を直接経験した世代が生々しく証言することができる最後の機会です。
そのようにして、来年は歴史を正しくとらえるという確信をもち、光復60周年を記念することができるよう願います。
国民の皆さん。
今私たちが経験している分裂と反目も屈折した歴史から始まっています。
親日と抗日、左右対立、独裁と民主勢力との間の互いを認めない対決の時代が長い間継続しました。特に独裁政権が戦略的な目的で地域を分け、差別と排除を繰り返しながら葛藤と不信がさらに深くなりました。
今こそこの分裂の歴史に終止符を打たなければなりません。
政策ではなく地域で分け、感情的な対立だけに没頭する地域構図の政治も今や終える時になりました。地域構図を克服することができる選挙区制改編に関する政治圏の大きな決断をもう一度訴えます。
国家発展と国民統合の深刻な障害となっている首都圏と地方間の不均衡もこれ以上放置してはなりません。さらに悪化する前に、再び回復できないような状況になる前に必ずや解決しなければなりません。
新行政首都の建設と国土の均衡発展を通じて首都圏は一段高い質的発展をなし、地方もそれぞれ特性ある発展を進めなければなりません。
尊敬する国民の皆さん。
光復の喜びを分かち合うこの日、先烈に対して顔向けできないいま一つの現実は、南北分断そのものです。地球上から冷戦の壁が崩壊して10数年になりますが、韓半島は依然としてその陰から脱しきれないでいます。
すぐに統一を実現するのは困難でしょう。しかし、統一が実現するその日まで、戦争の危険をなくし、南北交流と協力を拡大することを寸時も止めてはなりません。
参与政府は歴史的な6・15共同宣言の精神を一つひとつ着実に実践しています。
共同繁栄こそ一石三鳥効果
分断後初めて南北の将官級軍事会談が開かれ、軍事的信頼構築のための土台が築かれました。昼夜にわたり脅かし続けた非武装地帯の宣伝放送が休戦50数年にして中止されました。
オリンピックにおいて南と北が手に手を握りあいながら入場する姿も珍しくなくなりました。
過日、開城では南北が協力して民族の大事業をスタートさせました。年末までに試験稼働する開城工団の建設が2012年までにすべて完了すれば、汝矣島の10倍もの面積となり、南北共同繁栄の基盤となります。
そうなれば、南北双方ともに大きな経済的利益を得ることになるでしょう。ひいては韓半島における戦争の危険が減少し、韓国経済の対外的信用度も高まるという一石三鳥の効果を生み出すでしょう。
今年の秋には京義線が連結され、道路も開通します。過去半世紀にわたり切断されていた民族の血脈が再び結ばれ、さらには陸路を通じて中国やロシア、欧州まで連結する時代を開くことになります。
このように広がる明るい未来のためにも、北韓の核問題はきっと平和的かつ早急に解決しなければなりません。
私たちは、北韓の核問題が解決されれば、改革・開放を支援するための包括的で具体的な計画があることをすでに明らかにしました。いまや北韓当局が決断を下さなければなりません。そして7千万同胞がともに手を携え平和と共栄の道を切り開いていくべきです。
これと併せて、私たちと北韓、そして米日中ロが参加する6者会談の貴重な経験を生かし、東北アジアの平和と繁栄のための新たな協力方策を見いだすことができるでしょう。
尊敬する国民の皆さん。
現在、私たちにとって必要なのは自信です。私たちの運命を自ら切り開いていかなければなりません。
私たちの50代、60代、70代はそれこそ無から有を創造しながらここまで進んできました。IMF外貨危機も他のどの国よりも早く克服したわが国民であります。依然としてその後遺症は残っていますが、むしろ経済の体質を改善する契機となっています。
日本の経済が10年間の沈滞からいまや抜けだそうとしていますが、私たちもここ数年にわたり確実に構造調整を進め、革新と創意力が主導する経済に向けて変貌させつつあります。
中国の高成長も羨むことばかりではありません。未来の競争力の源泉となる技術力と効率的な市場システム、民主主義文化、そのどの面を見ても私たちはより発展的な明日を期待できるでしょう。
驕ってもいけませんが、今こそ私たちの力量に対しても正しく評価しなければなりません。それにふさわしい自信を持つべきです。希望と自信を抱き、力強く進みましょう。
協力と統合の新秩序を創出
安保に関する認識も正しくとらえる必要があります。現在の私たちは、100年前の中国と日本、西欧列国間で四分五裂し、国権を奪われた力のない国ではありません。私たちの歴史と領土を守るに足る十分な力を備えています。
現在、私たち国民がどの方向へ進もうとしているのかによって、東北アジアの構図は異なることでしょう。少なくとも東北アジアの未来を予測する上で大韓民国の選択は決して欠かすことのできない主要変数なのです。 しかし、依然として自主国防を語ろうとすれば、あたかも韓米同盟を解体するかのように不安がります。私たちの異なった力量に対する自信感が不足しているためです。自主国防は韓米同盟と相反するものではなく、相互補完的なものです。韓米友好関係をいっそう堅固にし、未来志向的に発展させるためにも自主国防は着実に推進すべきです。
10数年にわたり行われてきた龍山米軍基地移転交渉は、私たちの努力と米軍の積極的な協調により終了しました。一時は清国の軍隊が、日帝時代は日本軍司令部が駐屯した土地です。120数年間、外国の軍隊が駐屯したソウルの中心は今こそわが国民のもとに戻って来ます。
すべてのことが私たちの双肩にかかっています。今日の私たちの夢と意志がまさしく明日の歴史を創るのです。私たち自らを信じ、自信を持って未来を創造していきましょう。
国民の皆さん。
私たちが進むべき道は自明です。平和と繁栄の東北アジア時代です。そこにはEU人口の4倍にもなる巨大市場と無限の資源が存在します。
意志を持ちたゆまざる努力を継続すれば、私たちはこの地域に協力と統合の新秩序を創り出す中心的役割を果たすことが可能です。東北アジアの経済のハブとして跳躍しうる未来が私たちの目前にあります。
私たち皆で力と知恵を出し合いましょう。その統合された力で私たちの運命を自主的に開拓しましょう。私たちが主導する大韓民国の新たな歴史を創っていきましょう。
国民皆が私たちの歴史の堂々たる主人となりましょう。
(2004.8.18 民団新聞)