掲載日 : [2004-09-01] 照会数 : 7730
改革進める金剛学園 卒業生から緊急アピール(04.8.31)
同胞社会が支援を
金剛学園(郭倉坤理事長、姜森校長)は都市開発に伴う移転、人事をめぐる訴訟といった難題を抱えながらも、教職員、PTA、校友会が一体となって学校改革に取り組んでいる。いまこそ在日同胞社会がこぞって金剛学園に激励のエールを送ってほしいと、卒業生から次のような緊急アピールが本紙に寄せられた。
創立60周年再来年に控え
変わろうとしている母校にエールを送りたい。
在日同胞社会に4校(全日制)ある民族学校では、初の創立60周年を再来年に控えている金剛学園。先生をはじめとして経営する立場の理事たちが、多くの課題を抱えながら21世紀の国際社会に活躍する人材育成を目指して、改革に取り組んでいる姿には、涙ぐましいものがある。亀とウサギの競争じゃないが、まさに「亀の歩」のごとく歩んでいる。
金剛学園に山積みする短、長期に解決を迫られている課題が、二重三重いや何重にも重なり合っている。
校舎移転に莫大な費用
例を挙げれば、学校の移転問題、学校の運営(財政)、生徒数の伸び悩みといま民族学校の現場で抱えている問題にプラスして別の悩みを抱えているという現実がある。
学校関係者だけで解決するには、すでに限界を超えているように思えてならない。
大阪市の都市開発で、校舎の一部が計画道路に掛かり、立ち退きが迫られている学校、移転補償されるというものの移転補償だけでは学校は建たず、莫大な資金が必要となっている。現在、候補地を2,3カ所に絞り込み、検討に入っているとも聞いているが。
そして大きな問題の一つが一,二審で敗訴し最高裁に上告している元教員の解雇処分に端を発した裁判問題、それと咸同奎氏の解雇に伴う試用期間の認知で争っている件もある。
聞くところによると荒木信好氏(解雇した元教員)の件では、最高裁でも敗訴が濃厚だと聞く。二審の判決‐損害金(約1500万円)の支払いと復職について、損害金の支払いはいたしかたないにしても、復職はあり得ない。
目にあまった大私教の街宣
なぜなら、教師としての資質に問題があり、子どもたちを任せられないからだ。すでにPTA、校友会(OB)、先生たちが明確な意思を示しているし、もちろん、学校側も同じだと思う。
この8月23日には同校のPTA(金光旭会長)、校友会(趙貞内会長)の役員ら5人が、荒木信好氏をバックアップしている大阪私学教職員組合(大私教、大阪市中央区谷町)を訪ね、一連の行動に対して抗議を行った。
子どもを預けている父兄にしてみれば、大私教が組合員を動員して同胞の乗降客が多い鶴橋駅、学校の最寄り駅の花園駅などでの街宣活動、家庭や生徒へのチラシなどの大量宣伝活動を行い、「金剛は…」とスピーカーを響かせる。「何の責任もない子どもたちの心を考えない」、「教育者としての配慮がない」と反発しているのも当然であろう。
労働三権を盾にして、数と組合組織の論理を第一に行動する大私教、一方の素人集団に等しい学校側は、赤子と同じだ。巨像相手に握り拳の「パンチ」では、大私教は微動だにしないようだ。
しかし、これは避けて通れない大きな問題だ。この3月に誕生したばかりの郭倉坤理事長はじめ理事陣が、先頭に立って問題の解決に奔走していると聞いているが、いまこそ在日の関係機関などがその善後策を考え、早急に対策を講じる必要があると思う。
来年の生徒募集に注力
最近の学校の取り組みを見ていると、かすかな光が遠くに見えるような気がしてくる。新入り教員を除き正教職員26人が自主的に給与の基本給の5%を「移転費用に使ってほしい」と8月分給与から拠出し、また中・高校生の進学指導を重点にしたカリキュラム編成、IT教育の充実、クラブ活動にも力を入れ、テコンドー部では早くも試合で入賞するなどの成果が出ている。
先生たちも夏休みの間、来年度の生徒募集のパンフレットを持って炎天下、学校を回ったりしていると聞いている。
なにごとにもマイナス思考では、前進はない。プラス思考で意識が変われば道が開けると思う。「いまの金剛学園は半年前の金剛学園に非ず」ということを知ってもらい、今日この日から在日が変われば、民族学校の環境も変わるであろう。
創立60周年を第2の建学と位置づけている母校、緑豊かな広々とした校舎、最新、最高の設備で「ウリマル」を学び勉学に励む、広い運動場で思いっきりボールを蹴っている生徒たちのそんな姿を、夢の夢にしたくない。
(金剛学園中学校第8期卒業生、大阪市淀川区・福圭)
(2004.8.31 民団新聞)