掲載日 : [2004-09-01] 照会数 : 3997
<焼肉業界>苦戦の中 地域に貢献(04.8.31)
8月29日ヤキニクの日
146施設へ3万食…全国で愛のプレゼント
「焼肉を食べて暑さを吹き飛ばそう」。全国焼肉協会(新井泰道会長)は8月29日の「ヤキニクの日」にあわせ、全国各地の社会福祉施設の老人や子供たちを焼肉店に招待するなどの福祉事業を展開した。BSE(狂牛病)の影響で売上ダウンなど業界の苦戦が続く中で、焼肉店主らは「できる限り継続したい」と心意気を見せた。
近年のキムチブームとあわせて焼肉も日本の食文化として定着しているが、焼肉協会は業界の販売促進と社会貢献を目的に8月の1カ月間にわたり「全国ヤキニクまつり」(農林水産省後援)を展開してきた。
その最大のイベントが8月29日の「ヤキニクの日」。協会加盟の全国の焼肉店から地域の老人ホームや児童施設などを中心に店舗への招待、食材や焼肉弁当のプレゼント、出張バーベキューサービスなどのイベントを行った。今回、北海道から九州まで全国146の社会福祉施設に提供されたのは3万食分にのぼったといわれる(焼肉協会推計)。
在日同胞多住地域、川崎・桜本の通称コリアタウンの一角にある焼肉店「東天閣」では26、27の両日、児童施設の子どもたち約200人を無料招待し、焼肉をふるまった。招待された社会福祉法人「新日本学園」の子供たちは「おいしい肉をたくさん食べられてうれしい」とみな笑顔を見せながら焼肉をほおばっていた。
この福祉事業を11年前から続けている同店代表の田平萬氏(58)は「肉不足で材料費が25〜30%ほど値上がりし厳しい状況にはあるが、『継続は力なり』の言葉どおり、日本社会の一員である在日として地域社会に貢献したいという気持ちでやっているので、今後も長く継続していきたい」と心意気を見せた。
「ヤキニクの日」のイベントは今年で11回目。業界の拡大とともに施設へ提供するプレゼントも年々増加してきた。しかし、今年はBSE騒動の影響で安価な米国産牛肉の輸入が依然とストップしたままの状況の中で、牛肉不足が続き仕入れ価格が値上がりするなど、どの焼肉店も苦しい経営を迫られている。そのような中でも「自分たちのやれる範囲で地域に貢献できることは続けたい」と、同胞経営者らは強調している。
全国焼肉協会の新井会長は「厳しい中で会員各社が協力してイベントを盛り上げてくれた。焼肉はいまや子供の大好物なので、もう少し頑張ればまた明るい展望が開けるはずだ。こうした社会への貢献を積み重ねることで焼肉業界は発展していくと思う」と語った。
(2004.8.31 民団新聞)