掲載日 : [2004-09-29] 照会数 : 4174
在日女性の意識を調査 関西で同胞有志(04.9.29)
複合的差別の実態明らかに
【大阪】在日同胞女性による在日同胞女性のための実態調査が大阪を中心とする関西圏で取り組まれている。調査結果は報告書にまとめて地元の自治体ばかりか内閣府や国連などあらゆる関係機関に提出し、日本の人権施策に反映されるよう働きかけていく。
日本の人権施策に反映へ
調査に取り組んでいるのは在日2世の李榮汝さん(46)=「ハヌリ子ども会」運営、大阪市生野区=を代表とする「アプロ女性実態調査プロジェクト」。
調査内容は国籍や出自による就職差別の有無、公的年金の加入状況、子どもの教育、祭祀・法事について、暴力、地域社会との関わりなど7分野150の項目からなる。 一般的な女性差別にとどまらず民族差別、在日社会に残る伝統的な家父長制の問題にも踏み込んでいるのが特徴。クロス集計などで調査結果の分析が進めば、在日女性特有の複合的な差別の実態が浮かび上がるものと期待されている。
「女性の人権は権利」という世界的潮流のなか日本政府も国連の女性差別条約を批准したが、マイノリティの人権には関心が薄い。これは国連の女性差別撤廃委員会が昨年7月、「マイノリティ女性の報告」に触れていない日本政府報告書に懸念を表明したことからも明らか。
こうした事態に李さんは、4年前から在日同胞女性の実態調査の必要性を感じていたという。その後、大学の講師、社会学の専門家、大学院生ら5人で呼びかけ人を構成し、2年間にわたって論議を重ねながら調査項目をまとめあげた。
実際の調査にあたっては19歳から50歳までの調査員45人が趣旨に賛同し、7月末から18歳以上の在日女性800人を目標に大阪、京都、奈良、兵庫の関西圏を回っている。
最終締め切りは12月15日の予定。調査結果は5人の呼びかけ人が中心となって分析し、来年には1冊の本にまとめることにしている。李代表は「実態調査はスタートしたばかり。草の根調査のため、在日大韓婦人会の方々にも協力をお願いしたい」と話している。
問い合わせは(FAX06・6753・1981)李代表まで。
(2004.9.29 民団新聞)