掲載日 : [2004-10-20] 照会数 : 8036
文化の違いほのぼのと 著者たがみようこさんに聞く(04.10.20)
[ 対話とひとくち情報つきの4コマ漫画 ]
恋愛実り「朴家の嫁」
唐突だが温かい韓国…日本女性の視点で描く
韓国→日本で出版
日本語教師を目指し、中国・北京に留学したたがみようこさんは、そのとき知り合った韓国人男性・朴泳相さんと6年越しの恋愛を実らせ結婚、韓国で生活している。01年から2年間、韓国の日本語講習サイト「イルボノドットコム(www.ilbono.com)」でバイト中に描いた4コマ漫画がサイトに掲載された。予想以上の反響を呼び、漫画とエッセイを1冊にまとめた「ソウルで新婚生活。新妻ヨーコちゃんの韓国暮らし」は今年2月、韓国で出版され3万部のベストセラーとなった。
そして今月、日本でも「ソウルで新婚生活。」が逆輸入版として出版され、話題になっている。
「夫と出会うまで、旅行に行ったこともなかった」
そんなたがみさんの韓国での生活はわずかな文化差から生じる戸惑いもあった。
「最初は韓国人のパワーにおされて『こんな国住めるかな?』と思いました」と回想する。
ホームシックから救ってくれたのは、通りすがりの親切な女の子や電車で荷物を持ってくれたアジュンマ。4コマ漫画に描かれている韓国ならではのエピソードのひとつひとつが、たがみさんと人々との交流を描いていてほほえましい。
「シオモニ(姑)は優しくて明るくておもしろくて、夫にも『嫁は外国人だからフォローしろ』と言ってくれます。でも、やっぱり息子が一番大事なんですけどね(笑)」
人間同士の心遣い
留学時代は1対1の付き合いだったが、多くの韓国家庭の結婚がそうであるように、たがみさんは「朴家の嫁」として家庭に入った。長男であるご主人にとって親族との付き合いは最優先事項だ。日本と似ているようでかなり異なる祭祀などの行事。韓国人ばかりの親族のなかに日本からの嫁が一人。
「最初の1、2年は辛かった」と言う。そのたび、ご主人とはケンカになったが、次第に祭祀の時はアジュンマの集まる席に男一人でたがみさんの隣に座るなどの配慮をみせてくれたという。元々はまったく家事をしなかったというご主人は、たがみさんの努力によって現在では家事全般を手伝ってくれるようになった。
「『洗濯と食器片付けどっちがいい?』と聞いてどちらかしてもらったり。料理はおいしくなくても、褒め殺し(笑)。気をよくしてどんどん作ってくれるようになりました」
この手法で、たがみさんはご主人の生活習慣まで変えた。
「韓国に行ってわかったのは、同じ人間なんだから譲り合いと話し合いで色んな問題をクリアしていけるということですね。国際結婚で別れてしまった友人もいます。不満を言わず、溜め込んで爆発させて離婚してしまって。
日本人と結婚していても家庭や出身地方によって文化差の問題は生じていたと思います。すべてを国や国籍のせいにするのではなく、相手の人間性も重要だと思います。あとは努力と譲歩と、諦め(笑)」
ストレス解消のために描き綴った4コマ漫画だったが、多くの韓国人が「ぼくたち韓国人もこういうところは直さなくちゃね」と、意外なほど素直に受け入れてくれた。
いち日本人女性の視点で見た韓国は、現地の韓国人に限らず、日本に生活の拠点をおく人々の目にも新鮮に映るだろう。
暮らしの中にネタ
「韓国での生活には慣れましたけど、まだまだカルチャーショックがあっておもしろい。漫画のネタが転がっています」
たがみさんの十代の頃の夢は小説家だった。
「まさか、韓国で漫画でデビューするとは(笑)。夫の両親も応援してくれています。本も出せたし幸せですね」
もっと韓日の仲がよくなって欲しい、とたがみさんは言う。
チゲを皆で囲った後のような、温かい気持ちにさせてくれるたがみさんの漫画とエッセイ。読者にとってはたがみさんが韓日の親善大使だ。
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たがみようこ
72年イタリア生まれ。東京で育ち、明治大学文学部卒業。中国留学中に知り合った一つ年下の韓国人男性と01年に結婚。現在、韓国在住。
(2004.10.20 民団新聞)