掲載日 : [2004-12-08] 照会数 : 4002
不遇高齢者宅を戸別慰問 民団静岡と婦人会本部(04.12.8)
[ 脳溢血で寝たきりの金寅吉さんを激励する ]
手作りのキムチに込めた温もり携え
「支団長交流会」に刺激受け
【静岡】歳末を前に民団静岡県本部が、婦人会静岡県本部手作りのキムチを持って市内の不遇な高齢者家庭28世帯を2日間に分けて慰問した。同本部が団費徴収以外の理由で市内の高齢者宅を回るのは久方ぶり。金勇事務局長は「戸別訪問の大切さをあらためて実感できた」と話している。
慰問対象者は本部直轄地域に居住する独居か、夫婦ふたりだけの家庭が選ばれた。2日に15軒、3日は残り13軒余りを回った。持参したキムチは婦人会静岡県本部が白菜12個を民団会館に持ち込み、11月30日から2日間にわたって準備したもの。
婦人会が静岡で「キムジャン」を実施したのはこれが初めて。民団の職員の発案だった。和気あいあいとキムチづくりを楽しむうち話が弾み、独り暮らしで寂しさをかこつ高齢者に届けようということになった。金事務局長は、11月にソウルで開かれた全国支団長交流会での「ウリ支部ウリチャラン運動」の実践報告に触発されたことも大きいと話している。
民団側から金光敏副団長と金事務局長、婦人会から金末順会長と韓春烈副会長が加わり4人から6人で回った。
かつて本部の副団長も務めた金寅吉さん(66)は3年前、脳溢血で倒れた。現在はわずかな国民年金を頼りに夫婦ふたりだけの暮らしを続けている。半身が麻痺し、現在も寝たきりの状態ながらも、キムチを持っての慰問には不自由な体を起こして喜びを露わにしていた。
1年前に夫を亡くして独り暮らしの李卯仁さんは足腰が衰え、いまは歩くにも杖が頼り。民団と婦人会の役員がわざわざ訪ねてくれたことがなによりうれしいと、顔をほころばせていた。キムチとともに持参した来年の「民団カレンダー」も好評だった。
車椅子生活の韓愚さん宅では、夫人が満面の笑顔で歓迎の意思表示。引きとめるのを振り切って家を後にした金事務局長は「団員宅に足を運んで話を聞くことがいかに大事かということがよくわかった。今回は駆け足で心残りだが、もういちど話を聞きにうかがいたい」と語った。
また、婦人会の金会長は「訪ねてみてはじめて、独り暮らしの寂しさが実感できた。だからこそ、こういう地道な活動を続けていかなければと思うようになった」と話していた。
(2004.12.8 民団新聞)