掲載日 : [2005-01-26] 照会数 : 5204
在韓被爆者援護問題 国に賠償を命令(05.1.26)
広島高裁「在外除外は違法」
【広島】在韓の被爆元徴用工40人が国と三菱重工業(東京)などを相手に、未払い賃金と慰謝料など計4億4千万円を求めた控訴審判決で広島高裁は19日、国に原告1人あたり120万円計4800万円の賠償を命令した。
西島幸夫裁判長は判決文で、国が74年に出した「402号通達」に基づき、一昨年まで在外被爆者を被爆者援護法の適用外としてきたことなどを「不合理な差別で違法であり、在韓被爆者は被差別感や不満感を抱くことになった」と原告の精神的損害を認定した。
在外被爆者援護をめぐり制度運用の誤りを理由に国に損害賠償を命じたのは、これが初めて。この精神的損害については「通達および政治実務の取り扱いが改められたからといって解消するものではない」として、被爆者健康手帳を保持していない10人の原告についても賠償を命じた。
ただし、日本の敗戦前の国と企業の不法行為については、事実認定をしながらも請求そのものは棄却した。
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人道的な対応早く 中央民生局談話発表
民団中央本部の李鐘太民生局長は19日、「韓国人元徴用工の控訴審判決に関する談話」を発表した。要旨は次の通り。
今回の判決は、高裁レベルでの戦後補償を巡る訴訟判決で、初めて国に賠償を命じており、遅すぎた感は否めないが歓迎したい。
特に、1審判決が国に対して「旧憲法下での個人の被害に責任は負わない」とする国家無答責の論理を、三菱側には時効を適用し、強制連行・強制労働の不法行為を認定せず、原告側の請求を棄却したのに対し、2審が、国家無答責の論理などを適用したのは不当としたことは評価したい。
原告らは「日本帝国臣民」として強制労働にかり出され、負傷したにもかかわらず、60年近くを経過した今日でも、未だに補償が受けられないのはあまりにも理不尽であると言わざるを得ない。 21世紀に入り、韓日両国の20世紀の負の遺産を清算し、真の共存共栄を構築するうえでも、日本政府が人道的な見地に立脚し、上告することなく政治的、行政的な措置をとるよう強く望むものである。
(2005.1.26 民団新聞)