掲載日 : [2005-01-26] 照会数 : 9006
震災10年 民団兵庫と外国人代表ら集会(05.1.26)
[ 犠牲者に黙とうを捧げる(左から)原亮介兵庫県議会議長、羅鍾一駐日韓国大使、金宰淑民団中央団長、金定子婦人会中央会長、白眞勲参議院議員 ]
哀悼胸に多文化共生を宣言
「先頭に立つ」誓い…激甚被災地・長田に3000人
民団兵庫県地方本部は22日、県・神戸市や外国人を含む地域住民と協力して「震災10年‐追悼と共生・共栄の集い」を神戸市内で開催、犠牲者に改めて哀悼の意を表し、「すべての地域住民が異なる文化や生活習慣、価値観を理解し、ともに支え合うことにより、多文化共生社会を実現しよう」との「多文化共生宣言」を宣布した。
10年前の1月17日に発生した阪神淡路大震災は同胞131人を含む6433人の命を奪った。この日の集いは、突然の災禍に国籍・民族を超えて立ち向かい、救援・復興に手を携えた記憶を呼び戻し、共生社会実現への決意を新たにさせた。
会場は同胞や外国人の集住地区であり、3日3晩燃え続けた激甚被災地でもある長田区のピフレ広場とピフレ会館大ホール。主会場が冷気の厳しい屋外にもかかわらず、団員や外国人を含む地域住民ら3000人以上が参加した。
式典では厳かな黙とうに続いて、遺族代表の言葉があった。当時21歳の長男を失った鄭伊津子さん(57)は、「あの地獄の日から涙の出ない日はありません。お前の分まで一生懸命生きます」と目をはらし、3人兄弟の末娘(当時24)を亡くした千正秀さん(67)は、「最後の気力で、夢の中に出てくる娘とともに、明るく生きていく」と声を詰まらせた。
主催者を代表して白永煕本部団長は、「災害時は地域との共同活動が緊要であり、民団には地域社会の確かな構成員となる不断の努力が必要だ。全国民団に強く訴えたい」と語った。
また、民団中央の金宰淑団長は、「震災の教訓を国際化するためにも、民団は『ともに生きることの素晴らしさ』を日本全国、さらには世界に力強く発信しよう」と呼びかけた。来賓あいさつで羅鍾一駐日大使は、「人と自然、人と人、人と社会が調和をなす『共生社会』を築く理念は韓日友好に通じる。地域住民の一員として尽力する民団に感謝したい」と述べた。 この日は、12日から神戸市で開かれていた「国連防災世界会議」の最終日。多忙ななか県・市関係者をはじめ地元選出の国会議員や県・市議会議員らの来賓が多数出席した。県議会の原亮介議長は、「遠くの親戚より近くの他人。救援や復興に民団をはじめとする外国人住民が大きな役割を果たした。違いを超えてともに歩もう」と訴えた。震災時、科学技術庁長官として神戸入りした田中真紀子衆院議員、中越地震に見舞われた新潟県山古志村の長島村長からも、哀悼と激励の言葉が民団に寄せられた。
式典は「多文化共生宣言」の宣布、全員による『つばさをください』の大合唱で締めくくられた。
式典後、屋外会場では民族色豊かな屋台が人だかりをつくり、ステージではアトラクションが続いた。また屋内ホールでは同時進行で、「学ぶ、発信する多文化なまちづくり」と題したパネルディスカッションが開催され、震災時の異文化間摩擦を乗り超えるうえで、民団を中心とした在日同胞が大きな役割を果たしたことが各パネリストによって強調された。
(2005.1.26 民団新聞)