掲載日 : [2005-02-02] 照会数 : 7267
南北の同時突破なるか サッカーW杯アジア最終予選(05.2.2)
[ 対ドイツ戦(04年12月19日)での李東國のゴールは韓国で04年最高のゴールに選定された ] [ 対ドイツ戦、タックルをかわし突破を試みる朴圭善 ]
決戦迫り高まる同胞の期待
韓国チーム…スランプを脱出
若手台頭で競争し烈に
いよいよ開幕するサッカーW杯アジア最終予選。06年6月にドイツで行われるW杯本大会への出場切符を懸けて、アジア1次予選を突破した8カ国が各4カ国ずつA組とB組に分かれて、ホーム&アウェーによるリーグ戦を戦う。6カ月に及ぶ熱く長い戦いに、アジアが沸騰することは間違いない。(スポーツライター・慎武宏)
W杯本大会に無条件で出場できるのは各組上位2チーム。また、各組3位同士で行われるプレーオフの勝者も、北中米カリブ海予選4位のチームとW杯出場権を懸けて大陸間プレーオフを行う仕組みになっている。つまり、アジアに与えられた本大会出場枠は4・5。決して楽な戦いではない。 その過酷な戦いに、ジョー・ボンフレール監督率いる韓国代表が挑む。前回02年W杯を日本とともに共同開催した韓国は、ホスト国の特権として予選免除で本大会に出場できたが、06年ドイツW杯ではアジア最終予選を勝ち抜かなければならない。韓国は8年ぶりに熾烈な真剣勝負に身を投じるわけだ。
しかも、韓国が属するのはグループA組。もっとも警戒していたイランを避けることができたことは幸運だが、サウジアラビア(3勝3敗5分)、ウズベキスタン(2勝1敗)、クウェート(6勝8敗3分)と、過去の対戦成績で苦手とする国々と戦うことになった。
とりわけサウジは89年イタリアW杯予選で白星を挙げて以来、過去15年間で1敗2分と分が悪い相手。「イラン、バーレーン、北韓と同じ組になった日本に比べれば〞楽な組〟に入った」と国内メディアは報じているが、楽観はできない。
ただ、チームの指揮を執る韓国代表のジョー・ボンフレール監督は言っている。
「予選で対戦する国々は決して侮れないチームばかりだが、W杯本大会に進出できる自信はある。A組で出場チケットを手にする2チームを選ぶとすれば、そのひとつは間違いなくわれわれ韓国だ」
02年W杯でアジア初のベスト4に輝いた韓国代表だが、昨今は不振の連続だった。昨年3月にはFIFAランク140位台の格下モルディブに引き分けてウンベルト・コエリョ監督が辞任し、その後任として招かれたボンフレール監督もアジアカップはベスト8に終わり、W杯1次予選でも大苦戦。レバノン、ベトナム、モルディブを退けて何とか1次予選を突破したが、その戦いぶりはストレスが募る内容だった。そんな不振を吹き飛ばしたのが、昨年12月19日に釜山で行われた対ドイツ戦である。02年W杯準決勝では0‐1で敗れている強豪相手に韓国は3‐1の勝利を飾ったのだ。
しかも、その勝利は待望されていた若い力によってもたらされた。02年W杯以降、韓国代表は世代交代が急務とされてきたが、ドイツ戦では金東進(キム・ドンジン)、金斗(キム・ドゥヒョン)、朴圭善(パク・キュソン)らアテネ五輪世代が大活躍。ボンフレール体制下でFW李東國(イ・ドングッ)も復活を遂げ、チーム内では熾烈なレギュラー争いが繰り広げられている。
スランプ脱出と若手の台頭、そしてレギュラー争いによるチームの活性化。こうしたさまざまな要素が、普段は慎重で厳格なボンフレール監督の自信の裏付けになっているのかもしれない。
苦手の中東勢どう攻略
とはいえ、韓国がアジア最終予選を突破するためには、いくつもの試練を乗り越えなければならないのも事実だろう。というのも、アウェー戦のたびに長距離の移動を強いられ、そのうち2度は韓国が伝統的に苦手とする中東遠征なのだ。
また、若い力の台頭は02年W杯以降、モチベーション低下が指摘されたチームに、生存競争を通じた競争力の活性化というシナジー効果をもたらしているが、その一方で若い選手たちの経験不足が不安でもある。W杯アジア予選を勝ち抜くためには、経験豊富な選手がかならず必要になるのだ。
果たして、ボンフレール監督はいかにチームを仕上げていくのか。韓国代表は1月8日からアメリカ遠征を実施し、15日にコロンビア代表(1‐2)に敗れ、18日にはパラグアイ代表(1‐1)、22日にはノルウェー(1‐1)に引き分けた。国内組中心の若いチーム構成で組織力構築に全力を注いでいる。その成果を披露する場が2月9日にソウルで行われるクウェート戦だ。W杯アジア最終予選の初戦となるその試合で、幸先の良いスタートを切ることを期待したい。
(2005.2.2 民団新聞)